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テレビ局辞めフリーアナ転身 収入増えるのは少数派と経験者

J SPORTSラグビー中継の実況をする住田洋さん(左)と解説の中瀬真広さん

 テレビ局にとって、スポーツ中継は欠かせないコンテンツのひとつだが、今では世界中の様々なスポーツを地上波のみならずCSやBS、さらにはインターネット中継などで見ることが出来る。フリーのアナウンサーとしてCSなどでスポーツ実況をしている元テレビ愛媛アナウンサーの住田洋さんに、その仕事の仕組みを解説してもらった。

 * * *
 スポーツ実況アナウンサーの仕事では、ドラマや情報番組への出演と違って、自己PRして、面接官がいて、というタレントさんのようなオーディションはほとんどありません。

 いわゆるオーディションに近いものとしては、ビデオを観ながら実況を実際にやってみて、そのDVDを提出する、ということがあります。短い時間では判断がしづらいのが実況という仕事の特徴なのです。

 いま私が担当させて頂いているJ SPORTSでのラグビー中継は、2009年1月にテレビ愛媛を辞めてフリーになり、10ヶ月くらい経ってから決まったものです。年末の大学選手権が初めての実況でした。おかげさまで及第点だったようで、それから4シーズン続けて担当しています。

 J SPORTSのラグビー中継は、海外ラグビーも含めて試合数が多いので、6人のアナウンサーが分担して実況しています。そのなかで、自分は一番の新入りです。日本でスポーツ実況をしているアナウンサー全員を知っているわけではないですが、フリーアナの中では自分が一番、キャリアが浅いと思います。ベテランの方が多い職場です。

 フリーになって、正直なところ収入は激減しました。具体的な額は聞かないでください(笑)。地方のテレビ局勤務というのは、その地域ではわりとお給料がよい仕事でしたから、どうしても下がってしまいますね。フリーになって収入が上がる人の方が、アナウンサーでは少数派だと思います。それでもチャレンジしたかったのは、思う存分、スポーツ実況をやってみたかったからです。

 大都市以外の地方局では、アナウンサーを専業でやっている人はいません。私もテレビ愛媛では夕方の「EBCスーパーニュース」でキャスターをしていたので、テレビを見ている人からはアナウンサーに見えていたと思います。でも、実際にアナウンサーの仕事は全体の2割くらいでした。

 朝から夕方まで記者として取材をしていました。記者クラブ付きの記者だったこともあります。取材のあとにニュース原稿を書いて、局へ戻るとニュースを読んで、夜は編集をするという毎日でした。大変でしたけれど、その経験は今も生きています。

 忙しいけれど安定したテレビ局員を辞めようと思ったのには、いくつか理由があります。このまま40代を迎えたら管理職になり、喋る仕事がまったく無くなってしまうということ。また、キー局が制作した番組を放送する地方局というビジネスモデルが、将来はどうなるかわからないという不安。そして何より、新人のころから願っていたスポーツ実況をしたいという思いでした。

 2004年アテネ五輪の前は、五輪を目指す愛媛県にまつわる選手をディレクターとして取材していました。五輪予選の世界柔道、そして五輪本番でカメラを片手に取材に行くと、キー局で働く同期のアナウンサーが実況をしていた。実際に素晴らしい試合を前にすると、自分の気持ちを抑えられなくなった。スポーツ実況をするためにフリーアナウンサーになろうと決めたのは、アテネ五輪がきっかけでした。

■住田洋(すみだ ひろし) 1974年生まれ。大阪府出身。テレビ愛媛に10年半勤務したのち2009年からフリーに。J SPORTSラグビー実況、前橋競輪中継司会、全国高校野球選手権大会栃木県大会(とちぎテレビ)実況などスポーツに限らず、『夕なび 湘南~横浜』番組内の「ざっくぅ対決」コーナーでは、子どもとゆるキャラ“ざっくぅ”のPK対決実況も。バレーボールのC級審判資格を持つ。趣味はトライアスロン、鉄道の旅。株式会社ジョイスタッフ所属。

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