国内

政策語る前に「保守かリベラルか」で論争の民主党に苦言あり

 民主党が目指す方向性について、党内では「保守か中道かリベラルか」といった論争が繰り広げられているというが、新聞報道だけでは民主党がどこへ向かおうとしているのかさっぱりわからない。ジャーナリストの長谷川幸洋氏が、こうした民主党の姿勢に対して苦言を呈する。

 * * *
 民主党の結論より一足先に、私の見方を書いておこう。まず「中道とか右派とか左派、あるいはリベラルという言葉は政党自身が掲げる旗ではない」という点をはっきりさせておきたい。それはメディアが政党に貼り付けるレッテルである。

 そもそも政党を名乗る以上「自分たちはこういう政策を目指します」という話が出発点だ。綱領に具体的な政策まで書けないというなら、政策のおおまかな枠組みでいい。「政権を預かったら、こんな政策路線を展開します」と約束して有権者の支持を仰ぐ。それが政党の原点である。

 政策路線をほかの党と比較して、右とか左などと評価するのはメディアの仕事だ。相対評価でレッテルを貼れば、とりあえず少しは分かりやすくなる。その程度の話にすぎない。政党にとって肝心なのは、あくまで政策の中身、つまり「私たちの政権は国民のために何をするか」である。

 そこを勘違いして「自分たちは中道だ」などと胸を張って、どうするのか。自分が自分にレッテルを貼って自慢できるのか。そんなことを言い出したら、いつだって他党の動きを横目で見ながら行動するはめになってしまう。よそがぐんと右へ動いたら、自分もちょっと右へ動いてポジションを守る。そんな話になる。

 私に言わせれば、そんなのは政党ではない。自分の位置取りで帳尻を合わせるのに汲々となって、肝心要の主張が二の次になってしまう。それでは有権者の代表を唱える資格がない。

 民主党の様子を見ていると結局、混乱の根本原因は「自分たちはこれを有権者に訴える」という柱を失った点にあるように思える。選挙カーの上から訴える言葉を見失っているのだ。

 野田が「自分は保守だ」というなら、自民党と自分の政策路線がどう違うのか、しっかり説明してもらいたい。海江田が「中道とか右派、左派は古い時代の考え」というのもピンぼけだ。メディアや評論家はいつだって、そういうレッテルを貼る。まず自分が何をしたいのか。政治家なら、そこをはっきりさせてもらいたい。メディアもそこを突くべきだ。(文中敬称略)

※週刊ポスト2013年3月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
「2024年に最もドッキリにかけられたダマされ王」ランキングの王者となったお笑いコンビ「きしたかの」の高野正成さん
《『水ダウ』よりエグい》きしたかの・高野正成が明かす「本当にキレそうだったドッキリ」3000人視聴YouTube生配信で「携帯番号・自宅住所」がガチ流出、電話鳴り止まず
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
(左から)「ガクヅケ」木田さんと「きしたかの」の高野正成さん
《後輩が楽屋泥棒の反響》『水ダウ』“2024年ダマされ王”に輝いたお笑いコンビきしたかの・高野正成が初めて明かした「好感度爆上げドッキリで涙」の意外な真相と代償
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
(SNSより)
「誰かが私を殺そうとしているかも…」SNS配信中に女性インフルエンサー撃たれる、性別を理由に殺害する“フェミサイド事件”か【メキシコ・ライバー殺害事件】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン