国内

メガバンク内部 旧所属銀行間融和より世代間格差が問題に

 三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクは統合から7~12年を経て、統合後入行者が役職に就くなど旧行意識は希薄になってきている。しかし、新たに浮上している人事・組織上の問題が「世代間格差」だ。金融ジャーナリストの森岡英樹とジャーナリストの永井隆の両氏がリポートする。

 * * *
 メガ行員は概ね50歳までに、役員になる者を除き同期すべてが外部に出向・転籍する。そのため45歳で退職後に備えて将来設計を考える研修を受ける。これは悲哀を込めて「たそがれ研修」とも呼ばれる。しかし、現在はさらに進んで「40歳で“プレたそがれ研修”を受けなければならない」(あるメガバンクの中堅行員)という。

「住宅ローンの返済計画や退職後の身の振り方などを書かされる。自分の銀行員生活もあとわずかかと身につまされる瞬間だ」(同)

 どこの企業でもバブル期に入社した40代は人数が多く、それより上の世代に比べて待遇などで格差があるが、銀行はそれに加えて特殊事情がある。合併を繰り返したため、40代の銀行マンはただでさえ多い人数が膨れあがった。

 一方で支店の統廃合などでポストは激減している。これまでは銀行OBを経理部などで受け入れてくれた取引先企業でも、出向・転籍を引き受ける余裕がなくなっている。それでも、あと数年で銀行を去らなければならない。「40代はまだ恵まれている」と指摘するのは30代の若手行員だ。

「我々は入行時から債権回収に駆り出されてキツイ仕事をしたのに、公的資金が注入されていたため給料も低かった」

 次世代を担う3メガバンクの若手行員にとっては「旧行融和など死語」(同)というのが本音だ。それよりも、上の世代との格差への不満の声が大きい。

※SAPIO2013年3月号

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン