国際情報

訪露の森喜朗元首相 銅像に献花しプーチン氏の琴線に触れた

 安倍晋三首相の特使として訪露しプーチン大統領と会談したロシア通の森喜朗・元首相は、どのようなメッセージをロシア側に伝え、どんな反応を得たのか。対ロシア外交の第一線で活躍してきた佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)の解説である。

 * * *
 日本のマスメディアはあまり注目していないが、プーチン大統領との会談前に、森氏が首相府横のストルイピン元首相の銅像に献花したことが重要だ。

 この銅像は、ストルイピンの生誕150年を記念して昨年建立されたものである。ストルイピンは、1905年の第1次ロシア革命後の混乱収拾や改革で大きな成果をあげた政治家だ。特にロシアの将来は、シベリアと極東の発展にかかっていると考え、投資と人口増加政策に取り組んだ。同時に反体制派に対する弾圧を徹底的に行なった。多くの革命家が処刑されたので、絞首台が「ストルイピンのネクタイ」と呼ばれたくらいだ。
 
 プーチン大統領はストルイピンをとても尊敬している。銅像建立のためにプーチン氏も寄付をした。昨年12月27日、プーチン氏はメドベージェフ首相とともにこの銅像に献花した。
 
 会談で、森氏はプーチン大統領に「100年前に極東開発の重要性を強調した帝政ロシア時代の首相ストルイピンの銅像を訪れ、献花した。あなたは、かつてストルイピンが行なった極東開発でロシアを強化していくという方針を、ひとつの原点として、国家運営に取り組んでいるのではないか」と質すと、プーチン大統領は「その通りだ」と答えた。また、献花に対してプーチンは「スパシーボ(ありがとう)」と謝意を述べた。ストルイピン銅像への献花という森氏の行動は、プーチン大統領の琴線に触れた。

※SAPIO2013年4月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン