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安倍長期政権10年計画 再々登板もあるリアルな工程表を入手

 GW終盤に華々しく行なわれた国民栄誉賞授与式で、安倍首相が身につけたのは「背番号96」のユニフォームだった。「96代目の首相という意味だ」――本人はそう答えたが、額面通りに受け取る人は誰もいないだろう。安倍首相が政治生命を懸けて取り組む憲法改正のスタートとなる96条改正への熱意の表われと見る方が自然である。安倍首相は、それを実現するために、驚くべき“超長期工程表”を用意していた。

「政権工程表」――政権返り咲きが見えてきた昨年12月の総選挙中、安倍自民党総裁は菅義偉氏(現官房長官)、世耕弘成氏(現官房副長官)、加藤勝信氏(現官房副長官)ら後に内閣の中枢を占めることになる側近議員たちと、政権発足から7月の参院選までの工程表をまとめた。

〈工程表によれば、新年度予算は4月中旬に衆院を通過し、5月10日に成立する。そして6月下旬に参院選に向けた経済対策案を策定することになっている〉

 朝日新聞は政権100日の検証記事(4月4日付)で具体的な内容をこのように報じ、安倍政権が「ロケットスタート」に成功した裏には、周到に練り上げた「政権工程表」の存在があったことを指摘した。

 しかし、安倍政権の発足後、もうひとつの“工程表”が練られていることは知られていない。朝日が報じた「工程表」が参院選までの短期の政権戦略なら、こちらは長期政権を見据えた安倍首相の「権力維持のロードマップ」というべきものである。安倍側近の1人が語る。

「この数年の政権は長期戦略どころか1年先も読めなかった。しかし、安倍さんは違う。参院選に勝てば衆参のねじれが解消し、本格政権として腰を据えて政策に取り組むことができる。政権の滑り出しが順調だからこそ、中長期の政治日程を立てる余裕が出てきたということだ」

 ロードマップは衆院の任期満了を迎える2016年まで、1年刻みで政治課題と目標が検討され、その内容は以下のようなものだという。

●2013年7月 参院選=与党での過半数獲得
●2014年12月 沖縄県知事選=普天間基地辺野古移設を決定
●2015年9月 自民党総裁選=再選で党内基盤は盤石
●2016年7月 衆参ダブル選挙の選択肢を検討

 ――ここまでの政治日程は、政権・与党内部で当然、考えておくべきものだろう。自民党の総裁任期は1期3年で、連続2期まで務めることができる。今年の参院選でねじれを解消し、次の総選挙で自民党が勝利すれば安倍首相は2018年まで2期6年の長期政権が見えてくる。あと5年間だ。

 しかし、それだけではない。長期政権に向けたロードマップは、「10年計画」になっており、2016年以降では驚くべきシナリオが練られているというのだ。

「2016年のダブル選挙で勝てば、安倍総理は任期を残していったん退陣し、若手の後継首相を立てる。次期首相には憲法改正の発議要件を緩和する96条の改正をやらせ、2年後に安倍総理が再々登板して次の2期6年、2024年まで本格的な憲法改正に取り組む。これは安倍さんにしかできない」(自民党関係者)

※週刊ポスト2013年5月24日号

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