ライフ

存在感薄まる聖徳太子 十七条の憲法の功績も否定され始める

 年々、教科書における存在感が薄くなっているのが「聖徳太子」だ。推古天皇の摂政として国政を担当、冠位十二階や十七条憲法を制定したと私たちが習った聖徳太子像は、今では厩戸王(うまやとおう)という呼び名が強調され、「国政の担当者」から「協力者」へと格下げされている。文教大学付属高校講師で、歴史家の河合敦氏は、聖徳太子が“失脚”した経緯についてこう話す。

「1996年に中部大の大山誠一教授が厩戸王は実在したが、聖徳太子の功績は『日本書紀』の編纂時に捏造されたものだとする論文を発表し、『聖徳太子非実在説』が論争を巻き起こしました。今では、教科書の記述が示すように厩戸王と死後に神格化された聖徳太子を分けるのが学会でも主流になっています」

 さらに、聖徳太子の最大の功績とされてきた「和をもって貴しとなす」の条文から始まる十七条憲法については、聖徳太子どころか実在の執筆者とされた厩戸王の功績としてすらも否定され始めているのだ。

 その鍵となるのが、唯一十七条憲法が記されている「日本書紀」だ。「日本書紀」は奈良時代の720年に完成。その一部である「推古紀」には、〈推古天皇一二年四月三日 皇太子(厩戸王)自ら憲法十七条を書き記した〉と記載されている。前出・河合氏が指摘する。

「厩戸王のころに皇太子という肩書は存在せず、条文の記述にも、当時は使われなかった『国司』という言葉が出てきたり、文法上の誤りが複数あったりするために、いつ誰かは分かりませんが、後世の捏造とする説もあります。ただ、聖徳太子の神格化は確実に見直されつつあるが、こちらの方はまだまだ議論の分かれるところです」

※週刊ポスト2013年5月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン