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東京山の手にも慢性的な地滑りありと研究者 安全神話崩壊か

 東京や大阪、名古屋などの大都市圏にも軟弱地盤は広がっているという。立命館大学歴史都市防災研究センターの高橋学教授は、「数値や過去の経験則で計れない地域こそ、震災の被害が大きくなることもある」と警鐘を鳴らした。
 
 例えば高橋教授が注目するのが東京の高級住宅エリアである「山の手」だ。
 
「『山の手安全神話』などもはやないものと考えていい。“山の手エリア”の高台から平野部に至る斜面では、年にして数ミリほどの慢性的な地滑りが起きています。
 
 台地の斜面で発生する地滑りのことを専門用語でクリープと呼んでいます。大雨によって引き起こされる急性型の地滑りとは種類が異なりますが、その上に建つ家屋に確実にダメージを与えていきます」

 東京のど真ん中で地滑りが発生しているとはにわかには信じがたい話である。 そこで高橋教授に同行を願い、山の手エリアを歩きながら、「クリープ現象」を確認することにした。
 
 場所は都内の目黒川沿いの某所。高台の上に瀟洒な高級住宅が連なる人気エリアである。
 
「ここを見てください」
 
 高橋教授が指を差した先には、コンクリートの壁に長いひび割れがあった。他にも傾いているブロック塀、地面と接する基礎部分が損壊しているマンションもあった。
 
「わずかずつですがクリープが起きているためにコンクリートに圧力がかかっている。このひび割れは経年劣化によるものではない」

 次に高台から川沿いの方に下っていくと、高橋教授は再度指さした。 その先には後方のマンションと比べるとはっきりと斜めに立つ電柱があった。
 
「電柱は最初垂直に立てられますが、この電柱のように緩い地盤の上では、斜めに傾いていく。それだけ土地が軟弱ということです」

※週刊ポスト2013年5月24日号

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