西川文二氏は、1957年生まれ。主宰するCan! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導している。その西川氏が、犬のウンチ放置対策の最前線事情について、解説する。
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先日、某雑誌から意見を求められましてね。犬のウンチの放置に対する得策はないものかって。いやぁ、このウンチの放置、どこの行政でも犬に関する苦情のトップ2を競う。
私めの知る限り、この悪行の多くは、夜のお散歩時になされてる。なんてったって、日中さすがに他人が見てる前では、そのままでは立ち去れないですからね。
それも、私めが想像するに、ノーリードでのお散歩ってのが、いちばん怪しい。もちろん、リードをつけないでお散歩させることは、法を犯してる。でも、夜中は誰もいないし、車も少ないんでついつい……なんて人も、けっこういる。
で、ですね、このノーリードのお散歩、飼い主から離れて歩くんで、犬がウンチをしたことに気付かない。たとえウンチをしたことに気付いても、暗い闇夜に紛れて、ウンチを発見できない。発見できても、取りこぼしに気付かない。
かくして、翌朝、他人様がそのウンチを発見し、行政に苦情を申したてまつる。そうそう、伸びるリードでのお散歩でも同様のことが、きっと起きてる。そう、私めは思うわけですよ。
根本的な問題は、飼い主のモラルの低さ。悲しいかな地道な啓発活動をやるしか道はない。
実は、現代の科学を持ってすれば、ウンチからDNAを解析して個体の特定はできる。全ての犬のDNAがあらかじめ登録されてれば、糞を放置した飼い主もきっちり割り出せる。
もっとも、約半数が未登録っていうこの国では、土台無理なお話か。しかし、性根を据えてその気になれば、できないこともない、って気もしないでもない。実際、中東あたりでは、やってるところもあるって聞く。
DNAの登録の導入。これでウンチの放置も、もはやこれまでウンのつき、になるんですけどねぇ。
※週刊ポスト2013年6月14日号