ライフ

『伝え方が9割』著者「机上の空論でない。リアルに役立つ」

「デートしてください」

 まるで関心のない相手からこんなことを言われても、無視するか適当な理由を付けて断るのがオチ。でも、

「めちゃくちゃおいしいパスタの店があるんだけど、食べに行かない?」

 と聞かれたら…。あなたがパスタ好きなら、同じ相手でもそう誘われれば行ってみようかなと思えてくるから不思議だ。これこそが言葉のマジック。そんな伝え方のテクニックをまとめたのが『伝え方が9割』(ダイヤモンド社)だ。発売86日で30万部を超えた。

「狙って書いたわけじゃないんです」

 コピーライター、作詞家で、大学でメディア論の非常勤講師も務める著者の佐々木圭一さんはそう言う。

「学生たちと話していると、いいアイディアなのに社会では通用しない言い方をしていたり、思ったまま口にして3割も伝わっていないことが多くて、もったいないなあと感じていました。もっとこう言えばきちんと伝わるよ、と講義で話してきたことを、ぼくの教え子だけじゃなく、頑張っているかたたちにも伝えて応援したいという気持ちで書きました。机上の空論ではないので、読んですぐリアルに役に立つはずです」(佐々木さん・以下「」内同)

 学生に限らず、うまく話ができない人は多い。口下手だから、ボキャブラリー不足だからと言い訳しながら、できるだけ話し手にならず聞き手に回ろうとする。うまく言いたいことを伝えられないことで、誤解を招くのが怖いという人もいるだろう。

「実は、伝えるというのは技術なんです。いくつかの切り口を覚えてアレンジすれば、相手からイエスを引き出しやすい伝え方ができますよ」

 例えば、感謝という切り口ならこうなる。

「人間関係が近いほど“ありがとう”が有効です。心の中では感謝していても言葉にしない人のほうが多いですよね。照れずに“ありがとう”と言う回数を増やすだけで相手との関係がよくなり、結果的にあなたのやってほしいことをしてもらえる可能性が高くなります」

 またチームワークの切り口も有効だ。

 家族が脱ぎ散らかした服を、「自分の服くらい片付けなさいよ!」と文句まじりに言う妻。でも、いっこうに片付けてもらえない…。

「夫や子供に“○○しなさい”と言ってもなかなか動かないですよね。そんなときは、“一緒に○○しよう”って言うんです。そうすると相手が動きやすくなります」

 小学生の子供に「勉強しなさい」と言っても机に向かわないが、「ママと一緒に勉強しようよ」と言えば、親子の共同作業的遊び感覚で勉強しようという気になるそうだ。

「ぼくもそうだったけど、親に勉強しなさいと言われて勉強するのって癪に障るんですよね。でも“一緒に”と言われれば、やろうかなと思える。お風呂嫌いの子供なら、“お風呂に入りなさい”ではなく、“お風呂でアンパンマンと一緒に遊ぼう”なんて言うのも◎。

 夫婦でも、妻が“私もこの棚をきれいに片付けるから、あなたも服を散らかすのはやめてね”と言えば、夫が散らかさなくなる可能性は上がります」

※女性セブン2013年6月20日号

関連キーワード

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン