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ロイヤルホストの戦略 客単価引き上げても“復活”できた理由

 ロイヤルホストは、再びファミレス界の主役に躍り出るのか――ロイヤルホストは2012年12月期の既存店売上高が16年ぶりに前年を超え、2013年1~3月期は売上高、来店客数、客単価のすべてで前年度超えを達成。今年5月も、前年度を上回った。

 景気低迷による消費者の節約志向により、ファミレスといえば、長らくガストやサイゼリアといった低価格チェーンの時代が続いたが、ここへきて、客単価1000円を超えるロイヤルホストが復活してきたのだ。

「デフレが長期化するなかで、外食業界は牛丼チェーンに代表されるように、低価格の店が人気を集めてきました。ファミレス業界も例外ではなく、デフレや競合店の増加で長年、不振が続いていました。とくに、価格設定が他店よりもやや高めのロイヤルホストは苦戦を強いられてきたのです」(外食業界関係者)

 ロイヤルホストは2011年から、“家庭では作れない味”を目指し、これまでのメニューを一新し、客単価を引き上げる戦略に打って出た。

「ほかの外食チェーンでは既製品を温めるだけで提供するところも多いですが、ロイヤルホストでは、コックが料理の多くを作っています。これを、より打ち出していこうということです。2014年までに新しい厨房機器を順次導入し、より“本格メニュー”を楽しめるように改革を進めています」(経済誌記者)

 さらに、シニア層や女性客を意識してヘルシーメニューを強化。5月下旬からは、カロリーや野菜とのバランスに配慮したグランドメニューを開始した。

 外食ジャーナリストの中村芳平さんが語る。

「ロイヤルホストは、経済的にややゆとりのある40代の女性が主なターゲット。多少値段は高くても、おいしくて、しかも健康的な料理を楽しみたいという世代です。彼女たちは、満足すれば友人や家族も引っ張ってきます。ロイヤルホストは『国産黒×黒ハンバーグ』『サンドイッチ・パンケーキ』など料理メニューをブラッシュアップし、ブランドの再構築戦略と取り組んできましたが、そうした地道な努力が身を結んできたと言えます」

 アベノミクスによる株価高騰などで、百貨店では宝飾品などが売れ出した。景気の先行きに明るさが出てきたこと確かである。

「景気回復がさらに家計を潤すようになれば、これまでは月に1度程度だった外食の機会も、月に2、3度というように利用回数が増えていくのではないでしょうか。ただし、外食業界は食材など原材料費の高騰や消費税の導入を控え、今後値上がりするのは確実です。105円均一回転寿司チェーントップのスシローが189円メニューを投入するなど、対策に追われています」(中村さん)
 
 円安の影響で値上げに踏み切る外食チェーンも出始めた。低価格を売りにしたチェーンにとっては厳しい状況だが、客単価を含めたブランドの再構築を進めるロイヤルホストにとっては存在感を示すチャンスになるかもしれない。

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