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民主党議員 小沢一郎氏に復党お願いしないと党が死ぬと懸念

 都議選で第1党から第4党に陥落した民主党内は、参院選での巻き返しどころか、責任のなすりあい、はたまた泥舟からいかにして脱走するかの算段ばかり。 海江田万里・代表は引責辞任を否定したが、党内からは同情の声さえ上がる。

「参院選で勝ち目がないことをわかっているから、このタイミングで代表になろうという人は誰もいない。海江田さんも本音では“辞めたい”と思っているだろうが、ここで交代しても新代表がまた参院選敗北で辞任することになる。どうせなら2つの敗戦の責任を1人に負わせようという懲罰続投みたいなものだ」(民主党中堅)

 一方、自民党や維新との憲法改正相乗り路線を模索してきた前原グループ、野田グループ内では「党の金庫に残っている資金にありつける“分党”を目指そう」という声が強かったが、風向きが変わりつつある。

「これだけ自公が勝つようなら、今さら擦り寄っても相手にされない。参院選後の代表選に備えて、党内で勢力拡大をするほうが得策ではないか」

──そんな打算の囁きが起きているのだ。

 ダメ組織ぶりを発揮しているのは幹部だけではない。都議選では4人以上の複数区で「獲得議席ゼロ」が続出。新宿、板橋、葛飾、江東、八王子などでは「1議席だけでも死守」と民主候補を一本化して臨んだもののあえなく落選した。

「いくら民主党の支持が凋落したとはいえ、普通に選挙運動をしていたら4位以内に入れないはずがない。事前の候補者調整で気が緩み、まともな選挙運動をしていなかった」(都連関係者)

 実際、4人区で落選したある候補の陣営は、「公認された時点で落選はないだろう。これが中選挙区のいいところだ」と安心して手を抜いていたが、その態度が有権者に見透かされた。

 そうした中、あまりの体たらくに党内からは“小沢待望論”が上がり始めた。保守系の民主党代議士がいう。

「小沢さんが地盤を固めるまでは地元に張り付けといっていたことはやはり正しかった。これまで風頼みだった民主党の議員は逆風下の戦い方を知らない。永田メール問題(*注)で危機を迎えた時、党勢を立て直したのは小沢さん。参院選後には代表経験のある前原誠司さんや岡田克也さんの再登板がささやかれているが、彼らは逆風に弱い。賞味期限切れは承知の上で、復党をお願いするくらいでないとこの党は本当に死んでしまう」

 驚くことにその考えは党の中枢にも広がっている。

「参院選では与党に過半数を取らせない体制をつくらなければならない。生活の党との協力は簡単ではないかもしれないが、可能性はある」

 細野豪志・幹事長はそう語って都議選投票日直前の6月19日に生活の党の鈴木克昌・幹事長と会談、参院選の福岡選挙区での選挙協力を取り付けた。

 小沢氏も総選挙敗北後の本誌インタビュー(3月1日号)で、〈民主党が大同団結を呼びかければ、次の総選挙でやれる〉と民主党が反自民勢力立て直しの柱になると語り、〈野党の中心として存在できるような政党をつくりたい〉と語っていた。それは、“民主党が頼んでくれば対立は水に流して野党共闘をまとめる覚悟はある”という決意にもとれる。

【*注】2006年2月の衆議院予算委員会で民主党の永田寿康議員が、入手した電子メールをもとに武部勤・自民党幹事長を追及したが、メールの文書は偽物であることが判明。永田氏は議員辞職、当時の前原誠司・代表も辞任した。肩書はいずれも当時。

※週刊ポスト2013年7月12日号

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