ビジネス

女性限定サービス多く男性限定少ない理由を森永卓郎氏解説

「女は男の三歩後ろをついて歩くもの」──こんな感覚が、「男尊女卑」といわれかねない時代遅れであることは十分承知している。女性の社会進出は大事だし、男女平等の権利が認められる社会が理想であることも、もちろん分かっている。しかし、近頃はなんだかおかしな逆転現象が起こっている。会社、家庭、飲食店──どこもかしこも「女性優位」。日本の「女尊男卑」社会はちょっと行きすぎではないだろうか?

 アフター5は女の方がダンゼン得をする。毎週水曜日には映画館や飲食店で「レディースデー」がうたわれ、それ以外の曜日も街を歩けば「女性割引」「女性限定のお得メニュー」のオンパレードだ。

 例えばカラオケ店。「パセラリゾーツ銀座店パセラ」のカラオケ女子会プランは、〈乾杯用スパークリングワイン+料理8品+スイーツ食べ放題、飲み放題付き〉で3時間4500円!(季節によって変更あり)

 紳士のスポーツといわれるゴルフも、「女性割引」が多くのゴルフ場で導入されている。

「女の子とふたりでゴルフに行ったら、『本日はレディースデーのため女性のお客様は割引です』といわれた。彼女が『私が女で良かったね』、と。結局支払いはこっちがするんだから、恩着せがましい」(38歳・会社員)

 山梨県で最も古い歴史を誇る富士ゴルフコース(山梨県)では、4人で4万2000円(7月2日時点)の「レディースカルテットプラン」が好評だ。名門コースを1人約1万円とは、なかなかウラヤマシイ。時期や曜日によって値段の変動はあるものの、通常料金と比べると1人分が無料となる設定だ。

「男性同伴の場合は使えません。女性のお客様に多く利用してもらうために設定しています」(企画推進室)

 もはやビジネスにおいて「どうして女ばかりが優遇されるのか」と怒るのは的外れのようだ。経済アナリストの森永卓郎氏が解説する。

「シンクタンクの調査によると“女子会”の経済効果は3兆7000億円。明らかに効果があるんです。女性は人に共感を求めるので『このお店はお得よ』と口コミで評判を広げてくれる。一方、男性はいくら満足度が高いサービスでも他人に宣伝しない。だから『男性限定サービス』は少なく、失敗例も多いようです」

「女性限定クレジットカード」も、男がうらやむ内容だ。

「女性専用の三井住友VISAアミティエカードは一般のカードに比べて、プラスアルファの特典を用意しています。例えば、旅行損害保険額は一般カードが最高2000万円なのに対して、アミティエカードは2500万円です。

 20~30代の女性は可処分所得が多いため、さらに利用していただくようご用意しているものです」(三井住友カード株式会社・経営企画部広報室)

 5年ごとに行なわれる、総務省の全国消費実態調査では2009年に女性の可処分所得が初めて男性を上回ったことで話題になった。そのカネをいかにして取り込むか、各企業はあの手この手で工夫をこらしているのである。

※週刊ポスト2013年7月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン