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夏の定番化する「冷やしラーメン」 なぜ山形県で誕生した?

栄屋本店の「冷やしらーめん」

 夏に汗をかきながら食べるラーメンもいいが、キーンと冷えた「冷やしラーメン」が昨今の流行。夏になると、各店趣向を凝らした冷やしラーメンがメニューに並ぶ。今年も猛暑でブームになること確実だ。

 実はこの冷やし、意外と歴史は古く、60年余り前に遡る。山形のラーメン店、栄屋本店(山形市本町)の初代店主が「夏には冷たい蕎麦を食べるんだから、ラーメンも冷たいのが食べたい」という常連客の要望で開発を始め、冷たいスープでも脂が固まらないように試行錯誤を重ねて1952年に完成させた。だが、なぜ山形で誕生したのか?

 ラーメン評論家の大崎裕史氏は、「盆地の山形市は夏が非常に暑い。1933年7月25日に観測された気温40.8度は、74年間にわたって日本最高記録だったほど。もともと山形では蕎麦屋がラーメンを出していましたが、夏は温かいラーメンの需要が落ちるので、冷たい蕎麦があるならラーメンも冷たく……となった」と解説する。

 山形といえば蕎麦どころのイメージが強い。だが、実は山形市は1世帯当たりのラーメン消費量が日本一、山形県は人口10万人当たりのラーメン店舗数が日本一というラーメン好きの土地柄で、来客のもてなしも出前のラーメンが当たり前になっている。

「山形ラーメンは昔ながらの醤油味が圧倒的に多く、冷やしも醤油味がほとんどです。東京に冷やしラーメンが登場したのは12~13年前。今は煮干しをガツンときかせた“冷やニボ”がトレンドで、塩味、トマト味、豚骨味など各店趣向を凝らしています」(大崎氏)

 写真で紹介しているのは、栄屋本店の「冷やしらーめん」(750円)。牛肉を煮た醤油、カツオ節、昆布を使った秘伝のスープに、大豆白絞油とゴマ油をブレンドした油が風味に華やかさを加える。透き通ったコクのあるスープからのぞくのは、山形県産小麦などを使った昔ながらのコシのある太目の麺。氷が浮かび、最後までキンキンの冷たさを堪能できる。

撮影■岩本朗

※週刊ポスト2013年7月19・26日号

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