ライフ

強烈猛暑 暑さ対策の打ち水めぐりご近所トラブルになる例も

 気象庁の全国927の観測点のうち、7月11日に35℃以上の猛暑日を記録したのは実に140地点。30℃以上の真夏日も544地点にのぼった。

 日本伝統の暑さ対策といえば“打ち水”だが、この打ち水を巡り、ご近所とトラブルになったケースも。

「あまりにも暑いので、家の周りに打ち水をしたんです。すると隣の住人から“こんなに暑いのに非常識なことをしないで!”とクレームが。打ち水をしたせいで、地面から熱い空気が舞い上がり、周囲に充満して余計に暑くなったっていうんですが…」(36才・自営業)

 打ち水は、日の高くない朝夕に行うと効果的だとされる。しかし、最近は夕方になっても気温が下がらず、熱せられたアスファルトにはまさに“焼け石に水”。「かえって湿気が増えて暑く感じる」という人がいても不思議はない。

 こうした、普段ならば感情的にならず、冷静に話し合えたことが、あまりの暑さにイライラして、夫婦関係や近所づきあいにまで取り返しのつかない溝ができるケースが増えている。

 民俗学者の井戸理恵子さんによれば、打ち水は日本古来の神道の流れをくむもので、「清める」意味もあるのだという。日本人は打ち水によって涼をとるとともに、心をもリフレッシュしていたのだ。

 それが新たな火種になるとは、なんとも皮肉な話だが、それだけ、やり方も、本来的な意味合いも知らない人が増えている証だろう。それは日本人が昔から行ってきた暑い夏を涼しく過ごす工夫もまた同じ。最近見かけられなくなったものも多い。

「風鈴に耳を傾け、い草の香りに金魚鉢。宵の花火に真夜中の怪談話…と、日本人は昔から心でも涼を感じることを楽しみました」(井戸さん)

 体の表面だけで涼を求めず、自然と交わりながら、涼をとる。その知恵は住まいにもいかされていたと井戸さんは話す。

「日本人は基本的に紙と木に包まれて生活をしてきました。紙には除湿の作用があり、障子や襖に多く使われています。また、竹で編まれた土壁は空気層を含み、田んぼの土に麻や藁のスサを入れて発酵させて使う。これも湿度を調整する効果があり、涼しさを感じることができるんです」

※女性セブン2013年8月1日号

関連キーワード

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン