スポーツ

金本知憲「筋トレによって選手生命が延びたと確信している」

 野球選手に必要な筋肉は、野球の練習で身につくから筋力トレーニングは必要ない。いや、やはり筋トレをとりいれて体を強くし、パフォーマンスを向上させるべきだ。この論争は、長らく決着のつかないホコタテ(矛盾)論争の様相をみせている。連続イニング・連続試合フルイニング出場数の世界記録保持者である元阪神の金本知憲氏に、筋トレの必要性についてきいてみた。

 * * *
 カープに入団した1、2年目は完全なパワー不足で、プロの投手の球威に負けて打ち返せなかった。そのため肉体改造が必要だと感じて、トレーニングジムでメニューを作ってもらいました。そしてシーズン中もオフもトレーニングは欠かさなかった。そうしないとプロの世界では生きていけないと悟ったからです。その「恐怖心」からトレーニングを続けていきました。

 目的は上半身と下半身のバランスが良くなり、かつパワーが発揮できて、40歳になっても動ける体作り。体脂肪をできるだけ最小にキープし、筋肉だけで体重を増やすことを目指しました。その結果、体脂肪が変わらないまま10キロ体重が増加。33歳の時の体重が一番重かったが、一番速く走ることができた。

 学生時代にも筋トレをしましたが、我流だったので上半身だけ。プロになってからは上半身だけでなく、スクワットで下半身を重点的に鍛えました。

 野球の筋肉はグラウンドで、という考えも間違いではないと思います。もちろんダッシュやランニングもやりました。それでつく速筋や遅筋(※註釈)をバランスよく、野球で使える筋肉にするために筋トレをする。これによって選手生命も延びたと確信しています。

 僕は明らかに筋力不足だったので筋トレを始めましたが、筋力を鍛えて硬くなるということはないし、全身を使う野球に不要な筋肉はないと思っています。高校生のレベルが上がったのも筋トレの影響ではないでしょうか。

 シーズン中にも筋トレを続けていたのは、筋肉だけで太っていたので、体重を落としたくない目的で筋力を鍛えていくしかなかった。21年間続けたトレーニングはきつかったですが、それが続けられたのは、一言でいえば向上心。それに尽きますね。

(※註釈)筋肉を構成する筋繊維の種類で、収縮速度が速いものを速筋、遅いものを遅筋と呼ぶ。速筋は瞬発力を引き出す、無酸素運動の時に使われる筋肉で、遅筋は持久力を引き出し、有酸素運動の時に使われる筋肉を指す。

※週刊ポスト2013年9月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

国民民主党から参院選比例代表に立候補することに関して記者会見する山尾志桜里元衆院議員。自身の疑惑などについても釈明した(時事通信フォト)
《国民民主党の支持率急落》山尾志桜里氏の公認取り消し騒動で露呈した玉木雄一郎代表の「キョロ充」ぷり 公認候補には「汚物まみれの4人衆」との酷評も出る
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
「松井監督」が意外なほど早く実現する可能性が浮上
【長嶋茂雄さんとの約束が果たされる日】「巨人・松井秀喜監督」早期実現の可能性 渡邉恒雄氏逝去、背番号55が空席…整いつつある状況
週刊ポスト
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン