ライフ

シジミやアサリの砂抜き「塩水にはちみつ一滴」で旨味が増す

貝は酒のダメージを軽減してくれる

 つらい二日酔いに効果があるのがシジミ汁などの二枚貝の料理だ。だが砂抜きをちゃんとしないと、ジャリジャリとした食感が残ってしまう。砂抜きと旨みを増す下準備の仕方を食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が伝授する。

 * * *
 このところ「酔った上での乱行」がメディアを賑わせている――。と思ったら、国会で超党派議員でつくる「アルコール問題議員連盟」(会長・中谷元自民党副幹事長)が「アルコール健康障害対策基本法案」を今国会に提出する方針を固めたという。「飲み過ぎが飲酒運転や暴力、虐待といった社会問題を引き起こしている」と注意喚起をすすめるようだ。

 とはいえ、ついうっかり飲み過ぎてしまうこともあるだろう。日常的につまみでサポートする習慣をつけておきたいところ。シジミ、アサリ、ハマグリなどの二枚貝がアルコールのダメージを軽減してくれることは知られているが、砂抜きができていない貝の「ジャリッ」という食感への嫌悪感であさりなどが苦手だという人もいる。

 だがきちんと処理をすれば、このリスクはほとんどなくなる。重要なのは砂抜きをするときの環境だ。「砂抜きがうまくいかない」と嘆く人に詳しく聞いてみると、塩の量を測らずに適当に放り込んでいたり、明るいところに置きっぱなしにしていることが多い。

 貝の砂抜きでもっとも重要なのは、その生息環境と似た状態を作ること、そして砂を吐きやすくさせ、いったん吐いた砂を吸い込ませにくくすることだ。

 まず何よりも重要なのは塩分濃度だ。アサリならば海水と同じ3.5%。汽水に生息するシジミは0.5~1%の塩水を作っておく。この量をいい加減にすると、貝の活性が低くなる。当然、砂をきっちり吐かなくなるばかりか、浸透圧の調整機能が低くなり、細胞内のアミノ酸を十分に増やしきれなくなる。逆に塩をきっちり計れば、貝はきちんと砂を吐き、旨味も増幅するのだ。ちなみに水の温度は15~20℃くらいが貝の活性が高くなる。冷蔵庫に入れてはならない。

 さらに旨味を増やしたければ裏技もある。2009年、独立行政法人水産総合研究センターは、「ブドウ糖を海水に入れるとアサリの旨味成分が増える」と発表した。出荷前のアサリをブドウ糖添加海水に24時間漬けたところ、旨味成分のコハク酸の量が2.8倍になったというのだ。この方法は砂抜き時にも応用できる。砂抜きのための塩水にはちみつをほんの一滴だけ加えればいい。

 容器はできれば底が平らなものがいいが、鍋でもボウルでもなんでもいい。ただしガラスのボウルは光を通してしまうので、避けたいところ。砂のなかにいる貝は暗い場所の方が活性が高くなり、砂を吐きやすくなる。

 容器の内側にはザルを敷いておく。目はあらいほどいい。吐いた砂をもう一度吸わせないようにするには、水管の届かないところに砂を落としてしまえばいい。貝の上部が少し水から出ている程度の水量を入れたら、暗い場所に置くか上に光を通さないフタをして3~4時間以上置く。

 やり方をまとめると、塩水の濃度はアサリ3.5%、シジミ0.5~1%。光を通さない容器にザルを敷き、水洗いした貝と塩水を入れる。塩水の量は貝の上部が少し水面から出ている程度。暗い場所で3~4時間置く。みそ汁、吸い物、パスタに酒蒸しの味わいが劇的に変わるはずだ。といっても、酒のダメージを軽くしてくれるわけではないので、くれぐれも飲み過ぎにはご注意を。

トピックス

部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
元・明石市長の泉房穂氏
財務官僚が描くシナリオで「政治家が夢を語れなくなっている」前・明石市長の泉房穂氏(62)が国政復帰して感じた“強烈な危機感”
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン