天木:国際的に見ると、日本は孤立してしまった。
孫崎:日米関係も同様で、世間では安倍政権になって日米関係が改善されたと思われていますが、実際は逆で、安倍・オバマの関係は、歴代首脳のレベルと比較しても非常に悪い。昨年は、首相が訪米しようとしてもなかなか実現せず、実現しても昼飯を挟んで1時間40分だけ会ったと。
他方、習近平はどうかというと、2日間カリフォルニアで一緒に過ごしている。オバマが中国と日本のどちらを大事にしているか明白で、非常に難しい時期に来ていることを日本人は気づいていないんです。
天木:外務省が12月に発表した、米国で実施した対日世論調査の結果を見ても、「アジアで最も重要なパートナー」は中国(39%)が1位で、日本(35%)は初めて負けた。これを深刻に受け止めるべきだが、マスコミも国民も現実に向き合おうとしていません。
【プロフィール】
●孫崎享(まごさき・うける):1943年生まれ。外務省入省後、外務省国際情報局長、駐イラン特命全権大使などを経て、2009年に退職。著書に『戦後史の正体』『アメリカに潰された政治家たち』など。
●天木直人(あまき・なおと):1947年生まれ。外務省入省後、駐米デトロイト総領事、駐レバノン特命全権大使などを経て、2003年に退職。著書に『さらば外務省!』『さらば日米同盟!』など。
※週刊ポスト2014年1月24日号