呉氏は自らがコラムを執筆している香港の中立系紙「明報」と会見。ニューヨーク・タイムズ紙など国外メディアによる温家宝ファミリーのスキャンダル報道について「証拠はない」と述べたうえで、政敵によるでっち上げだと強調した。さらに、呉氏は「改革派を誹謗中傷するため、計画的に世論を利用した攻撃だ」と主張した。
ところが、英紙ガーディアン(電子版)は、その3日後の1月21日、国際的なジャーナリスト組織「ICIJ」が入手したコンサルティング企業2社の内部文書を基にして、習近平国家主席や温氏ら中国共産党・政府、軍の要人の親族、少なくとも12人が、タックスヘイブンとして知られる英領バージン諸島などに会社や信託を設立し、資産を隠し持っていると報じたのだ。
この顧客リストのなかには、香港を含む中国在住者2万2000人の名前がリストアップされており、主な中国指導者の親族としては、習近平国家主席の義兄、胡錦濤前国家主席の甥、温氏の息子と義理の息子、李鵬元首相の娘らが挙げられている。
ICIJは専門家の試算として「2000年以降、1兆~4兆ドルの資産が中国から租税回避地などの海外に移転された」と指摘する。習近平氏らの親族は米大手監査法人やスイスの大手銀行などに依頼して、タックスヘイブンに会社を設立して、資産を蓄財しているとみられる。これら欧米金融機関は中国共産党の高級幹部や資産家をターゲットに資産管理ビジネスを拡大しているとみられる。