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『明日、ママがいない』 施設出身者から劇中の子供に共感も

 ドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)は児童養護施設を舞台に、子供目線で描かれているが、初回放送時から存続が危ぶまれるほどの賛否が巻き起こっている。

 熊本市の慈恵病院の蓮田太二院長は「養護施設の子供や職員への誤解、偏見を与え、人権侵害だ」と厳しく批判した。

 児童養護施設の出身者に取材すると、実際の施設とはほとんど異なる設定だとの声が多数上がる一方で、施設出身者たちの間では劇中の子供たちの目線には共感できるという意見は少なくない。

<実際と違うところがあるけれど、里親のことをママと呼べないのは、本当のことです。他にもお金持ちのところへひきとってもらいたいのも本当です>

<ドラマに出てくる子役達の演技を見て共感できる部分があって昔の自分と重なって見えました。本当に感動しました>

 同ドラマのホームページには施設出身者という視聴者からこんな書き込みが寄せられているが、その点に関して、名古屋市内の児童養護施設に勤務した経験を持ち、現在は、教員や施設職員、地域ボランティアと連携し、障がい児や児童養護施設・里親・ファミリーホームなどの支援を行うNPO法人「こどもサポートネットあいち」の理事長・長谷川眞人さんは言う。

「施設で育った子供たちの感想は、私と違ってドラマに出てくる子供たちに賛同していました。自分たちも入所した当時、施設の職員に気を使ったり、顔色をうかがったりしたことがあるから、理解できるそうです」

 施設出身者や里子など社会的養護の当事者が、互いに支え合い、当事者の声を発信する『日向ぼっこ』の代表理事を務める渡井隆行さんも、施設での生活をこう振り返った。

「施設での生活は慣れない間は怖かったですよ。何も理解できないまま“ここで暮らすんだよ”と言われるままに連れて行かれましたから。ドラマでの“新人”真希と同じで、DVの環境の中で育ってきたあの子は、その環境が当たり前で、お母さんが好きだから帰りたいと思って、まさに同じ気持ちでした。

 あとドラマでも描かれていましたが、子供ってすごい大人を見ていて、職員のことも品定めしてるんですよ。この人は信用できるのかって。例えば、短大卒の20才の人が職員で入ってきたら、“子育て経験も一人暮らしの経験もないのに、何をぼくたちに教えてくれるのかな?”って。親と離れて暮らしてきたぼくたちは今も昔も生きるのに必死なんですよ」

※女性セブン2014年2月6日号

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