長谷川氏はコラムで、8年前から減少に転じ、毎年20万人減り続ける日本の人口について、
〈だからといって何が怖いのか、と首をかしげる人も多いでしょう。戦後急に増えすぎた人口がもとに戻るだけではないか。毎年20万人減れば百年後には1億そこそこの人口になってちょうどよいのではないか──そう考える方もあるでしょう。しかし、そういう単純計算にならないところが人口減少問題の怖さなのです〉
と危機感を顕わにした。そして、こう長谷川氏は語る。
「人口問題の専門家、河合雅司さんの試算によると、約1.4という現在の出生率がこのまま続いてゆくならば、日本の人口は100年後には4000万人、2900年には1000人、3000年にはゼロになるといいます。これは、1.4の出生率が続けば、確実に到来する未来です。
この流れを食い止められるチャンスは年々減ってゆく。というのも、半世紀後には出産を担う年齢層の女性の数が現在の半分以下になってしまいます。そうなると、出生率が倍になっても、生まれてくる子供の数は今と同じ。人口回復はとても困難になってしまうのです。今すぐにでも手を打たなければなりません。
少子化問題の解決は、ある意味では簡単なので、若い男女の大多数が出産適齢期の20~30代前半で結婚、2~3人の子供を生み育てれば出生率は2以上になるはずです。しかし、なかなかそうはならない。若い女性のなすべきことは出産・子育てよりも、社会に出て仕事をすることだ、という考えが一般的になっているからです。
たしかにこれまでも政府は、若い女性が出産・子育てと仕事を両立できるようにと、支援をしてきました。しかし、いくら支援されても、一人の人間の時間とエネルギーは限られていますから、出産・子育てはどうしても後回しということになってしまうのです」
※週刊ポスト2014年2月14日号