元旦に発表された『新年の辞』で、正恩氏はこの粛清を「汚物を除去した」と表現した。実際、かつてロイヤル・ファミリーの一員だった張氏は“汚物”のごとく、酸鼻を極めた形で処刑された。朝鮮労働党幹部とパイプを持つ北朝鮮事情通が明かす。
「張氏の処刑法は徹底していた。存在の痕跡をこの世から一切消すべく、骨さえ原形をとどめて残さないほど、肉片と化すまで機関銃で全身を撃ちまくり、最後は火炎放射器で焼いたと聞いている。ただ殺すのではなく、今後、誰も張氏を偲んで墓参りできないよう、遺体の埋葬さえ不可能にする処刑方法だった」
あまりに残忍な処刑の模様を目の当たりにした朝鮮人民軍や朝鮮労働党の幹部らが震え上がったのも無理はない。その上で、先述のように、家族・親族が次々に粛清されていった。完全に一線を越えた正恩氏の「狂気の粛清」の真意はどこにあるのか。
「粛清を指示した自分に復讐の刃が向かないように徹底的にやっている。“タネまで絶やせ”というのが正恩氏の命令。もし張氏の家族が生き残っていたら、いつか自分に復讐を企てるかもしれない。また、張氏の墓でも作れば、彼に恩があるシンパたちが集まって自分に歯向かうことも考えられる。その芽を完全に摘み取れということ。要は保身のために子供たちまで殺したということだ」(前出の北朝鮮事情通)
※週刊ポスト2014年2月14日号