官邸の危機管理部門がとくに重大な関心を寄せているのが、名護市のキャンプシュワブの埋め立て予定地とは大浦湾をはさんで対岸に位置する場所に、日本共産党中央委員会がざっと3万坪(9万8491平方メートル)もの広大な土地を所有していることだ。
警備当局が反対派の拠点が置かれそうな土地を調査していたときに発見したものだという。
この土地は日本共産党中央委員会が総務省に提出した政治資金収支報告書の資産の項目にも記載されていた。取得したのは「平成21年4月24日」。日本政府が米国との間で普天間基地の返還と代替飛行場建設を明記したグアム協定を締結(同年2月17日)した直後にあたる。
日本共産党に土地取得の経緯について質問すると、「所有しているのは事実です。支持者から寄贈を受けた土地を原状のまま管理しているもので、何に使うかの所有目的はありません」(中央委員会広報担当)と説明する。共産党が左翼セクトなどの基地反対活動家を支援するとは思えない。
しかし、官邸の警備担当部門のスタッフは、この土地に反対派の“要塞”ができることを警戒する。
「対岸といってもキャンプシュワブからわずか3キロ程度で目と鼻の先だ。私有地となれば警察も簡単には立ち入りできない。仮に、この土地に反対派が入り込んでキャンプ村や監視施設が置かれ、闘争支援拠点として利用されるようなことになると非常に厄介だ」
【※注】浅間山荘事件/1972年2月、長野・軽井沢にあった河合楽器の保養所「浅間山荘」に新左翼の武装組織・連合赤軍が人質をとって立てこもった事件。10日間にわたって、包囲した警察と銃撃戦を繰り広げた。
※週刊ポスト2014年2月28日号