仮に家を手放して賃貸住宅に移ろうとしても、シニア世代にはさまざまな困難が待ち受けている。都内の不動産業者がいう。
「そもそも“高齢者はお断わり”という大家さんが多い。孤独死されたら後が大変だし、痴呆になって火事を起こすリスクもある。仲介業者が大家に“この人なら元気だし大丈夫”と報告しても、“70歳以上は絶対ダメ”といわれてしまう」
高齢というだけで、アパートさえ借りられない厳しい現実。業者が「長期間空きがある状態よりはいいのでは」と説得しても、耳を貸さない大家さんも多いという。それだけではない。
「長年、賃貸住宅に住み続けていた人が、高齢になってから立て替えを理由に追い出され、次の住まいが見つからないケースもある」(前出・不動産業者)
老人ホームなどの介護施設に入る選択肢もあるが、入居費用の安い公的な施設は空きがなく、要介護度が高い高齢者でも何年待つかわからない状態。一方、民間の施設に入るには金銭面が大きなネックになる。
「民間の有料老人ホームは入居一時金が必要で、500万円から高ければ1000万円以上はする。しかも、自由な自宅暮らしとは違って、生活時間が決められ、食事も好きなものを好きな時に食べることもできない。性格的にこうした不自由さに耐えられない人もいるでしょう」(前出・櫻井氏)
※週刊ポスト2014年3月14日号