これまで舌下免疫療法を受けるためには、「スギ花粉エキス」という注射用の薬剤を薄めて舌下に服用する保険の利かない自由診療を受けるか、製薬会社と提携する限られた医療機関での治験を受けるしかなかった。冒頭の40代男性は自由診療で舌下免疫療法を受けていたケースだ。
しかし今回、治験を経て「スギ花粉エキス」を発展させたシダトレンが新薬として商品化されることで、スギ花粉アレルギーをもつ患者のための切り札ともいえる舌下免疫療法薬がついに一般のものとなる。
現在、自由診療で舌下免疫療法を行なっている、谷本呼吸器内科クリニックの谷本梓医師がいう。
「注射による皮下免疫療法から舌下免疫療法に切り替えた40代の女性患者は、治療法を切り替えてから本当に楽になったといいます。
以前は、注射自体の痛みと、その後の腫れからくる不快感で通院が苦痛だといっていましたが、舌下免疫療法ではそうした不快感や苦痛とは無縁だ、と。今シーズンはまだ花粉症の症状が出ていないととても喜んでいますね」
シダトレン開発元の鳥居薬品も手応えを感じている。
「これまで弊社は他社が脱落する中、半世紀にわたってスギ花粉の免疫療法薬の販売を行なってきました。その成果がついに実ったと思うと感無量です。
その他のアレルギーについても根本治療をめざし、錠剤タイプの薬を鋭意、開発中です」(鳥居薬品担当者)
※週刊ポスト2014年3月21日号