NHKは新放送センター建設の理由を「老朽化」と説明するが、前述の佐藤議員は疑義を呈する。
「老巧化は今に始まったことではない。建て替えが必要ならばもっと前から積み立てていなければおかしい。しかも籾井会長が認めているように新放送センターについては何も決まっていません。総額もわからずに積み立てるなど民間企業ではあり得ない。積み立てが始まったのは受信料が値下げされた2012年度から。私が具体的な数字を拾いながら追及し始めてから、NHKは建て替えを口にし始めたとの印象を受けます」
NHKに取材したところ、「放送センターの建て替えについては、平成21年(2009年)に検討をスタートし、第174回国会参議院総務委員会(平成22年3月30日)にて、当時の福地会長が、準備に長期間要すことや、多額の資金が必要になる旨、答弁しています」と答え、佐藤議員の質問とは無関係であるとした。しかし、「3400億円」という想定予算はいつごろ試算されたのかという質問には答えなかった。
近年、NHKは受信料の未払い世帯に対して訴訟を立て続けに起こしている。現在までのところ高裁の判決は割れているが、多くの視聴者は訴えられたら怖くなって受信料を支払うだろう。
「つまり受信料は半ば税金と言っていい。その使い途についてNHKには説明責任があります。それこそ番組を使ってでも視聴者が納得いく説明をすべきです。視聴者はもっと怒って欲しい」(佐藤議員)
※SAPIO2014年4月号