芸能

宇津井健さん 酸素マスクをつけながら遺作「渡鬼」収録した

 3月14日午後6時5分、俳優・宇津井健さんが、慢性呼吸不全のために療養先の愛知県名古屋市内で亡くなった。82才だった。

 宇津井さんのの“遺作”となったのが、昨年5月27日、6月3日に放送された『渡る世間は鬼ばかり 2013年二時間スペシャル 前後編』。亡くなった藤岡琢也さん(享年76)から2006年4月に引き継いだ泉ピン子(66才)ら5人娘の父親・岡倉大吉役だった。

 宇津井さんは1年ほど前から肺気腫を患い、入退院を繰り返していたというが、昨春の『渡鬼スペシャル』の収録時から、その病状は深刻なものだったという。

「酸素マスクをつけながらの収録でした。6秒程度しか言葉を発せられないということで、長い台詞の脚本で有名な橋田壽賀子先生(88才)も、台詞を短めに配慮するほどだったんです。ストーリーの構成上、どうしても長くなってしまうときには、酸素マスクで何度も何度も息を整えながら撮影したんです。それはもう鬼気迫る命懸けの演技でした」(同番組関係者)

 そんなつらい状況下での撮影だったにもかかわらず、でき上がった映像には、いつもと変わらない“岡倉のお父さん”がいた。橋田さんに話を聞いた。

「私は現場には立ち合っていませんが、『渡鬼スペシャル』の撮影での宇津井さんの様子はピン子から聞いていて、宇津井さんが具合を悪くされていることは知っていました。実は、今年の秋にも『渡鬼』のスペシャルを作る予定で、宇津井さんからも関係者を通じて、“それまでには頑張って元気になります”という言葉をいただいていました。きっと治ると信じていただけに、本当に残念でなりません」

 宇津井さんは入院先などを、橋田さんや同ドラマのプロデューサー・石井ふく子さん(87才)ら親しい人たちにも伝えていなかったという。

「ダンディーなかたでしたから、闘病中の苦しい姿を見せたくなかったのではないでしょうか…。宇津井さんは最後まで美学を通されたんだと思いますよ」(前出・橋田さん)

※女性セブン2014年4月3日号

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