ライフ

LINE活用で上司と部下の関係に変化「上下関係が曖昧に」の声も

 現在、世界でユーザー数3億人を超えた「LINE」。友人間だけではなく、職場などビジネスで使う機会も増えている。そんななかで、職場、とくに上司と部下におけるコミュニケーションに変化をもたらしているという。

「部下との壁がなくなったのはいいことだとは思うけど、その一方で、どこか上下関係の線引きが曖昧になってきているのは否めないですね」

 こう語るのは、某メーカーで係長を勤める40才のサラリーマンAさんだ。Aさんは約1年前から、部下との仕事のやりとりにLINEを活用するようになった。それまでは携帯メールを使っていたが、最近はLINEを積極活用し、短い文章やスタンプで連絡をとりあうことからコミュケーションは円滑に。ときには、「飲みに行くか」という誘いを、スタンプとともにLINEで送ることもあるという。ただ、部下との距離間についてこんなことを漏らす。

「仕事の指示をLINEでしたら、20代の部下がパンダのスタンプで“OK”って。軽すぎますよね。距離感が縮まったのはいいけれど…。上司としてそれでいいのか、という気持ちも正直あるんですよね…」(Aさん)

 部下とのLINEのコミュニケーションに複雑な心境を抱くのはAさんばかりではない。取材をすると、40代、50代の管理職からはこんな声が次々と出てきた。

「職場でグループを作ったけど、LINE内で部下同士の雑談が始まってしまって。スルーしていたら、その中に、仕事の大事なメールがあったことにあとになって気がついた。そもそも雑談の場じゃないだろうって」(45才・食品関係)

「職場のチーム数人でグループを作っているんですが、休日にどこに行ったとか写真までつけて報告する部下がいる。LINEになると、仕事とプライベートの内容をわけなくてもいいと思っているのか、それを報告するのを普通だと思っているのか。上司という存在が軽くなった気がしてならない」(51才・食品関係)

 LINEでは、文章だけでのやりとりも可能だが、スタンプなどを多用してポンポンと軽快にコミュニケーションをはかることができるのも、人気の理由のひとつ。しかし、こうした便利な機能が、上下関係にも微妙に影響を与えているというのだ。

 新潟青陵大学大学院教授で社会心理学者の碓井真史氏はこう指摘する。

「LINEによって、上司が上下関係の線引きが曖昧になったと感じるのは、部下のLINEの内容に“公の場”という意識が欠けていると感じるからでしょうね。仕事のやりとりなのに、上司にかわいいスタンプメールを送るのはそのいい例です。LINEを含めて、ネット上のコミュニケーションというものは、本来は公の場なのに、プライベートな場のような誤解を生じさせてしまうもの。先ごろ話題になったツイッターの悪ふざけ投稿も、そうした意識が薄くなってきたことが背景にありますから」

関連記事

トピックス

遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
大分県選出衆院議員・岩屋毅前外相(68)
《土葬墓地建設問題》「外国人の排斥運動ではない」前外相・岩屋毅氏が明かす”政府への要望書”が出された背景、地元では「共生していかねば」vs.「土葬はとにかく嫌」で論争
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン