国際情報

ベトナム 被害を誇りにする文化なく韓仏に謝罪、補償求めぬ

 韓国はベトナム戦争で30万人以上の兵士を戦地ベトナムに送り込んだ。そこで起こった「虐殺と陵辱」にいま改めて注目が集まっている。韓国の市民参加型ニュースサイト『オーマイニュース』に証言を寄せたベトナム人女性ホンさん(66)も米兵や韓国兵が駐留する基地内で集団輪姦されたひとりだ。

〈ベトナム戦争当時、米軍基地の掃除や飯場で仕事をしながら生活費を稼いでいた。ある日、韓国兵の席を片付けるよう命じられ掃除をしていると、ひとりの兵士が『お前、オレンジジュースを飲むか?』と訊ねてきた。何の疑いもなく、差し出されたジュースを飲むと、そのまま気絶した。目が覚めると、服が脱がされていた。そして自分が輪姦されたことに気付いた〉(『オーマイニユース』より抜粋)

 後日、妊娠が発覚し、ホンさんはライダイハン(韓国兵とベトナム人女性との間に生まれた子供。ベトナム語で「ライ」は混血、「ダイハン(大韓)」は韓国の蔑称)を産む決意をする。娘は学校でいじめられ、ホンさん自身も“韓国兵に輪姦された女”という評判が影のように付いて回り、苦労に苦労を重ねた人生だったことが語られている。

 しかし、彼女の証言には自らを憐れんだり、韓国兵に対する恨み節はない。ベトナム戦争当時にサイゴン支局長を務め、ベトナム文化にも造詣が深い元朝日新聞記者の井川一久氏がいう。

「韓国には『恨(ハン)』という文化が根付いているが、ベトナムは違う。過去を恨むことは恥だと考えます。ベトナム人には被害を“誇り”にするような文化はないので、性的被害に遭ったことも自分からは告発したりしない。声高に賠償を求めることもありません」

 産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏が続ける。

「ベトナムは1992年に韓国と国交正常化を果たしましたが、これまで韓国に謝罪や反省、補償を求めたことはありません。それだけではない。ベトナムは60年以上も自国を植民地支配したフランスにも謝罪や補償を要求したことがない。

 でも、これが国際関係の常識です。歴史認識に固執して、対話や交流、協力を疎かにするのは国益を損なうばかりで賢明じゃないというのが国際スタンダード。韓国よりも経済的に劣るベトナムのほうが成熟した思考や態度を備えているのは皮肉なことです」

※週刊ポスト2014年4月4・11日号

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン