ビジネス

厚待遇のNHK職員 高卒入局19年目37歳で1100万円超の時代も

 NHK職員の待遇は厚く、「放送界のキャリア官僚」とか「電波貴族」とも称される。給与水準のみならず各種手当や健康保険、取材現場での特権もある。彼らが安倍政権にすり寄るのは、この厚遇を守りたいからではないか。

 昨年4月、NHKは5年かけて職員の給与を10%削減することを決定した。

 この給与カットに先立って当時の松本正之会長は国会審議で「NHK職員の給与というのは、やはり受信料で成り立つ公共放送であるということで、社会一般の水準とか公務員給与の状況等も熟慮して決める、考えていくべきものだというふうに思っております」(2012年3月22日、衆院総務委員会)と答弁した。

 だが、10%カットしたところで「社会一般の水準」とはかけ離れている。2013年度予算から試算した職員の平均年収は約1177万円だ(給与支出総額を職員数で割った数字)。

 平均的な国家公務員の年収約600万円(一般的な事務職である行政職俸給表「一」職員の平均、2013年度)を大幅に上回り、仮に10%削減されても民間サラリーマンの平均年収408万円(国税庁「民間給与実態統計調査」、2012年)の2倍以上ある。

 しかも10%削減は基本給や賞与について適用されるだけで各種手当はそのままだ。元NHK経理担当職員の立花孝志氏はこう語る。

「NHK職員の厚遇を支えるのは各種手当です。たとえば扶養家族が3人いれば世帯給が月額3万7500円、子供2人が23歳未満ならさらに1万7500円が支給されます。

 住宅補助手当は首都圏で扶養家族がいれば月5万円、地方だと2万円になりますが単身赴任であれば毎月3万3000円の単身赴任手当があります。

 その他にも物価の高い都市部勤務の職員のための地域間調整手当、北海道の職員には寒冷地手当もあるし、海外赴任の職員には国内家族手当が毎月10万~15万円、現地に連れて行った子供一人につき教育手当7万円など挙げていけばきりがありません。

 残業代の割増率は30%、休日出勤は40%で一般企業よりも高い(法定は25%と35%)」

 ちなみに、立花氏のNHK職員時代の給与明細(2004年)を公開しよう。高卒、入局19年目(37歳)の時のもので年収は1100万円超あった。

 明細には<クリエイティブ>手当がついていたが、これは全一般職に一律で年2回、各4万2000円支給されていた。厚遇批判を受け2013年度より廃止された。

※SAPIO2014年4月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン