ビジネス

団塊世代経営者 松下・本田氏ら戦中経営者と比べ実績少ない

 戦後最多となる約270万人の新生児が生まれた1949年生まれが65歳を迎え、団塊世代が企業人としての終局を迎えている。だが日本の社会構造を変えてきた彼らにしては、その最終評価は寂しい。

 有名な団塊経営者といえば、中西宏明(1946年生まれ、日立製作所社長)、長谷川閑史(1946年、武田薬品社長)、中鉢良治(1947年、ソニー元社長)、佐々木則夫(1949年、東芝前社長)各氏の名前が挙がってくる。

 時代は異なれどパナソニック、ソニー、ホンダを創業した松下幸之助氏、盛田昭夫氏、本田宗一郎氏ら戦中派経営者と比べると、実績だけでなく、スケール感にも大きな隔たりがある。出世競争に揉まれたはずの団塊経営者たちは、なぜ花開かなかったのか。信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏は、その原因に「平均点主義」を挙げる。

「同世代の人間が多かったことが必ずしも切磋琢磨に繋がらなかった。日本が戦後の混乱から豊かになっていく中で、たとえ競争に負けたとしても枠からはみ出さなければ幸福に暮らせるようになっていた。生きていく上では平均点をとることこそが重要だと。既に入社時に企業は高度成長期に入っていたので、平均レベルの仕事をしていれば年功序列、終身雇用で給料も上がり、昇進もできたのです」

 皆で仲良く、皆で幸せに──こうした官主導の“護送船団方式”による日本企業の幸福モデルが終焉したのが1997年11月、山一證券の経営破綻だった。

「終身雇用が“幻想”だったということに気付かされた。以後、メガバンクや電機メーカーなどで合併やリストラが繰り返されます。結果を残せない社員は肩を叩かれてしまうという現実に直面します」(真壁氏)

 サラリーマンとして脂が乗りきる50歳前後にして“自己変革”を強いられた団塊世代。しかし、真壁氏は、「“成功モデル”という前例を踏襲することでキャリアを重ねていた彼らは、自ら新しい仕組みやビジネスを生み出すことは不得手だった」と分析する。

※週刊ポスト2014年4月18日号

関連キーワード

トピックス

ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
裁判所に移されたボニー(時事通信フォト)
《裁判所で不敵な笑みを浮かべて…》性的コンテンツ撮影の疑いで拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26)が“国外追放”寸前の状態に
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン