ビジネス

増税後の株価予測「日経平均9000円割れ」を予測する専門家も

 株式市場では、消費税アップに伴い企業業績に懸念が膨らみ、アベノミクスが限界に来ていることを見透かしたように「日本売り崩し」を虎視眈々と狙う動きがある。

 株価はどこまで落ちるのか。やがて9000円になると予想するのは日本株運用会社ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表の菊池真氏だ。

「日経平均のEPS(一株あたり純利益)は2013年度で約1000円ですが、2014年度は800円に減少し、2015年度は600~700円まで落ち込むと予想しています。日経平均は概ねEPSの15倍で推移しますから、600円×15=9000円となる」

 株価上昇を支えてきた円安、国内景気、海外景気の3要素が今後は上向かないことが理由だ。

「4月からの消費増税と、円安に伴いエネルギーや原材料価格が上昇するコストプッシュ・インフレの影響が大きい。消費税で3%物価が上がり、さらに円安で1.3%のプラス(1月のコア指数)。合わせて4.3%の物価上昇に所得が追いつくのは難しく、節約志向が進むでしょう。企業には明らかな収益減少要因です」(菊池氏)

 加えて、海外では中国や新興国経済の先行きが危うい。

 それらの結果、「純利益ベースでは2割減、つまりEPSは800円になる。その次の年も2割減で600~700円。この1年の上昇幅を考えると現実的な数字です」(菊池氏)という。

 やはり「9000円割れ」を予測するのは世界銀行やJPモルガンのエコノミストを歴任した中丸友一郎氏だ。

「消費増税による国民の負担増は9兆円。景気対策の2013年度補正予算は約5兆円ですが、前年度10兆円だったものが5兆円に減ったのでマイナス5兆円ととらえるべき。9兆+5兆で前年度と比べた時のマイナスは14兆円に及ぶ。GDPの約2.9%マイナスです。

 日経平均と名目GDPには一定の比率の中で連関がある。14兆円も減ったGDPをアベノミクス直前の比率に当てはめると株価は8854円となります。そのあたりまでは覚悟すべきです」

 前出・菊池氏は株価下落のスケジュールをこう見る。

「5月の連休前後に企業の2013年度決算と2014年度の業績見通しが出る。2014年度は厳しい予測が出るでしょう。これでマーケットは冷える。

 続く6月末頃に政府が成長戦略を出す予定ですが、ここで大した政策が出なければ失望売りが出ます。そして7月末~8月にかけては消費増税の影響を踏まえた企業の第1四半期決算が出る。業績予想を下方修正する企業も出てくるでしょう。それを見た海外投資家は、さらに株を売ってくる」

※SAPIO2014年5月号

関連キーワード

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン