国際情報

慰安婦火付け役の朝日新聞に質問 歴史的大誤報どう答えたか

〈朴大統領、日本を再批判 「誠意ある措置」要求 慰安婦問題〉

 朝日新聞3月26日付記事ではそんな見出しで日米韓首脳会談に臨む朴槿恵大統領の姿勢を報じた。この問題の火を付けたのは自身だということを忘れたかのようだ。

 慰安婦問題は、朝日新聞が1991年8月11日付記事で〈元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀 重い口開く〉と大見出しをつけた一報で一気に火を噴いた。「韓国挺身隊問題対策協議会」が元「朝鮮人従軍慰安婦」から聞き取り作業をし、その時の録音テープが朝日新聞記者に公開されたことが記されている。

 後述するように〈「女子挺身隊」の名で戦場に連行され〉などと事実と異なる内容を報じ、それが今に至るまで国際関係に禍根を残している。朝日新聞は過去の誤った報道について、どう考え、どう説明するのか。今回本誌は11項目の質問を作成、同社に質した。

 質問は3月11日に朝日新聞広報部にファクスし、担当者との対面による取材を求めた。やや長いが、重要なので冒頭の2問を掲載する(*注)。

【問】1991年8月11日付記事では〈日中戦争や第二次大戦の際、「女子挺身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、一人がソウル市内に生存している〉として生存していた〈女性の話〉が掲載されている。掲載にあたって、〈女性の話〉が事実であるか、朝日新聞として検証したか。

【問】(前項の記事で)証言をした元慰安婦の金学順さんが同年8月14日に会見で公表した内容には、「母によって14歳のときに平壌にあるキーセンの検番に売られ~」というくだりがある。彼女は人身売買の被害者であり、強制連行ではない。「戦場に連行され」という記述は事実に反している。この部分について、誤報だったと認めるか。

 一つ目の問は、「証言」を鵜呑みにせず独自に検証取材したかという質問である。政治家の汚職にせよ有名人のスキャンダルにせよ、「人物Aがこう証言したからそれを真実として報じる」ことはありえない。Aの証言が事実かどうか、調べてから報じるのがメディアの常識だ。

 分量の問題もあるためすべての質問を掲載できないが、他には、「同記事を執筆した植村隆記者の夫人の母が、日本に対して賠償訴訟を起こした『太平洋戦争犠牲者遺族会』(金学順さんもメンバーの1人)の幹部だったことを把握していたか」、「朝日の記事は、遺族会の訴訟に有利に働く報道になったことについて、問題と考えないか」などを問うた。

 さらには、「強制連行」や「レイプ」などを著書で主張し証言していた吉田清治氏の発言を繰り返し掲載していたことについて聞いた。吉田氏は1996年以降、自身の回想が創作を交えたものだったことを認め、研究者による検証でも「強制連行」が事実に反することがわかっている。それが判明したのだから、吉田証言を掲載した記事は誤報と認めるか、事実確認のための検証チームなどを作ったか、という質問だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン