国内

北朝鮮 対日工作の新拠点と目されるビルは東京ドーム付近に

朝鮮出版会館の屋上には巨大なアンテナも

 金正恩の大粛清が吹き荒れる彼の国・北朝鮮。9日に開かれた最高人民会議では、処刑された張成沢前国防副委員長の後の体制強化が図られたが、その暴君・正恩様を目下、悩ませているのが、総連本部ビル売却問題だ。先の日朝局長級協議でも、「朝日関係の進展を妨げる」と売却阻止を強く求めた。

 周知の通り、千代田区富士見にある総連本部ビルは、昨年2度の競売を経て、先月24日東京地裁により不動産投資会社への売却が決まった。国交のない北朝鮮の実質的な大使館としての役割を担い、これまで数々の対日工作の拠点ともなってきたビルだが、これで北朝鮮は、日本での拠点を失うのかと思いきや、事態はそう簡単ではない。

 写真は、東京ドームから1kmほどの白山通りに面する朝鮮出版会館ビルだ。地上13階地下1階、築40年と少々古いが、総連のもうひとつの牙城として知られる。

「総連はすでにここを移転先と決め、2フロア分空けている」(元総連幹部)

 実はこのビル、これまでも対日工作の拠点としてたびたび利用されてきた。一昨年は、パソコン不正輸出に関与した疑いで、2007年には拉致に関与した疑いの工作員に関連して、このビルに入居する総連傘下の団体が家宅捜索を受けたいわくつきのビルなのだ。

「総連は本部ビルの売却決定に対し不服を申し立て、執行抗告しているが、それも居座るための時間稼ぎ。5月24、25日には、3年に1度の総連の最高決議機関である全体大会が開かれる。それを過ぎれば、正式に立ち退き宣告され、移転する可能性が高い」(公安関係者)

 一筋縄ではいかないのが北朝鮮。長らく総連中央本部を指す隠語は「富士見町」だったが、今後は「白山」になるかもしれない。

撮影■太田真三

※週刊ポスト2014年4月25日号

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