マツダ本社工場・第1車両製造部の左から、坂本遥加さん、山崎麗さん、筏津(いかだつ)敏雄さん
「生き物の一瞬一瞬の躍動感を表現する『魂動(こどう)』が、現在マツダの追求するデザインテーマ。そのテーマを表現するのに最もふさわしい色として、開発したのがソウルレッドです。
カラーは造形の一部であり、単なる色ではありません。フェラーリやアルファロメオなどはレーシングスピリットの象徴として赤を進化させてきました。一方マツダは『ファミリア』『ロードスター』など、日本を代表する“赤いクルマ”を誕生させてきた歴史と、クルマへの情熱を象徴する色として、“新しい赤”を追求。人の感性に訴える高品質なカラーとして『ソウルレッドプレミアムメタリック』を生み出しました」(マツダ デザイン本部 カラー&トリムデザイングループ アシスタントマネージャー・細野明洋さん)
ソウルレッドプレミアムメタリックの特徴は、その名の通り、従来のメタリックの色の濁りやギラギラ感を払拭し、ソリッドの鮮やかさに深みや陰影を加えたクリヤで鮮やか、しかも深みがあるカラー。竹内さんが指摘した、今トレンドの「赤」のイメージとも重なる。
「ソウルレッドはムラが出やすく、塗り方次第で色味がすごく変わってしまうため、とても難しい塗装です。でも、褒められたくてやっているわけじゃないんです。自分の塗ったかもしれないクルマを街で見かけると嬉しいし、この仕事が誇りです」と、言葉少なに語るのは、塗装を担当する山崎麗さん。技能五輪で日本3位に輝いた実績を持つ、弱冠22才の匠だ。話す山崎さんの佇まいに、確かなこだわりや積極性が、今の時代の“新しい赤”の一翼を担っている印象を受けた。