誤解されないように付け加えるが、金田選手は全く傲慢な男ではない。若い投手を励まし(金田が勝つと、2軍の若い選手たちからお祝いコールが携帯に届く)、遠征先では裏方さんたちに食事を奢っていた。私にも
「俺、私服だとプロ野球選手に見えないらしいんですよ。オリックスでも楽天でも、試合前に球場に入ろうとして警備員に止められたことがあるんです」
とリップサービスをして笑わせた。そんな腰が低くてお茶目な人が垣間見せた強烈なプロ意識だからこそ、私は感銘を受けたのである。
一般社会でも上司の稚拙な(と自分が考える)判断に右往左往させられたり、つまらない小さな(と自分が捉える)仕事を振られて、「モチベーションが低下した」と嘆かれる御仁がいらっしゃる。しかしそんな戯れ言は社会に出て数年目の、まだ自分で自分の仕事が作れないひよっこのセリフではないか。自分で自分の仕事を作ることが期待されるベテランは、モチベーションも自分で作れ。
最初の書き込みを中村選手はこう結んでいた。
《自分が監督を批判したことになるのか、自分でも整理がつかなくて……》
「相談」が「批判」と取られたなら、中村選手の戸惑いもわからなくもない。しかし中村選手がまずすべきことは、こんな文章を公開してファンから「同情」を集めるよりも、2軍でヒットを1本でも多く打って早く1軍に復帰することではないだろうか。