2009年に定年に伴い、部長職を降りてコーチになり甲子園ではベンチに入らなくなった。コーチになったばかりのころ電話をすると、
「久しぶりに風邪をひいちまったよ。緊張感が解けたのかなあ」
とぼやいていたのを覚えている。
そのころから、横浜の野球部が少しずつ変わっていったと思う。勝つには勝つのだが、外野手が緩慢なプレーをして単打を長打にしたり、打席で相手投手を挑発するような振る舞いをするようになった。1998年のチームなら考えられないようなことだ。今年のセンバツではも初戦で敗れ、春の関東大会でも44年ぶりというコールド負けを喫した。今後、毎年のように指名上位に選手を送り込んできたドラフト戦線でも変化が訪れるだろう。
横浜高校から離れて、小倉さんは今後、全国を指導で回る意向があるという。一抹の寂しさは禁じ得ないが、小倉さんの新しい活動も楽しみもある。