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アベノミクス持ち上げる新聞社 株の下落は外部要因のせいに

 大新聞は株価上昇や企業の好業績は何でも「アベノミクスのおかげ」としてきた。しかし彼らは、悪材料には目をつぶり、恣意的な見出しをつけて読者を欺いている。無責任報道の数々を検証した。

 卑怯なのは、「アベノミクスで株が上がった」と散々持ち上げておきながら、下落すると「海外投資家が売っているから」などと“外部要因”のせいにする書き方だ。

 2月初めに日経平均が大幅続落した時は、

<株価の下落が止まらないのは、海外投資家が売りの姿勢を強めているためだ>(読売、2月5日付朝刊)と書き、4月11日に終値で1万4000円を割り込んだ際は、

<再び緊迫化したウクライナ情勢で欧州を中心に景気を下押しするとの懸念が広がり……>などと海外市場との連動を印象づける(産経、4月12日付朝刊)。

 挙げ句、<「アベノミクス」の神通力がみられなくなっている>(同前)とは書くが、安倍政権の経済政策を真摯に検証するわけではない。

 他紙も同様だ。毎日は5月1日付朝刊で、昨年の株式市場は<アベノミクスへの期待感から……相場が活況>とする一方、今年は<ウクライナ情勢の緊迫化による株価の伸び悩み>があったと書く。

 5月に入ってからは、6月に発表する新たな成長戦略について、無批判に“広報”する記事も。

<安倍首相が柱に据えたいのは……高い法人実効税率(東京都で35.64%)の引き下げだ>

<新たな目玉づくりにも余念がない。首相は……「ロボットによる『新たな産業革命』を起こす。世界に先駆け、ロボット活用の『ショーケース』となりたい」と訴えた>(読売、5月18日付朝刊)

 法人税引き下げは経済成長にはつながらない。そうした実態を検証・取材することなく、安倍首相を“改革の志士”と印象づけようとしている。

 大新聞と政権の癒着は今に始まった話ではないが、安倍政権になってからは特にひどい。

 その象徴が頻繁に行なわれる新聞社幹部と安倍首相の会食で、今年に入ってからも読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長・白石興二郎社長(1月17日)をはじめ、毎日新聞社長(2月3日)、産経新聞会長(2月18日)、共同通信社長(3月27日)、読売新聞政治部長(5月8日)らと料亭や高級焼き肉店、ホテルのレストランなどで会食を重ねている。

 幹部だけではない。東京・四谷の居酒屋では、現場の記者と杯を交わした(4月1日)ほか、赤坂にあるホテルの14階のレストランではかつての番記者と食事している(2月21日)。テレビ局幹部を入れれば、月に数回はマスコミとの会食だ。

 これでは、「メシを食わせてもらってヨイショ記事を書く奴ら」と言われても仕方ない。

※SAPIO2014年7月号

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