2年経った今でもTバックに慣れず、勤務時だけの限定着用だ。それでも彼女にとっては苦痛だという。

「周りの目がとても気になるんです。会社の飲み会に参加した時、男性社員から“今日もTバック穿いてるんだよね?”って耳打ちされて、ギョッとしました。総務部だけの秘密だと思っていたのに、他の部署の人も知ってた。

 どんな下着を穿いてるのか多くの男性に知られてるのって、辱めを受けているような気分で……。生理の日だけはボクサーパンツでいいので、辛いはずの生理の日は少しホッとするんです」(河村さん)

 同僚の受付嬢の中には、「タイトなスカートを穿くならTバックは当たり前」という考えの人もいるという。もちろん納得して穿いているなら外野がどうこう言う話ではない。が、河村さんはTバックの強要に苦痛を感じている。セクハラの観点から問題はないのだろうか。東京労働局の担当者に聞いた。

「男女間だけでなく世代間の認識の格差がセクハラを起こすことがあります。どんな行為が若い女性を傷つけているのかを年配の幹部は理解できていない面もある。被害者の方は然るべき窓口に相談して対応を考えてほしい」(雇用均等室)

 河村さんの会社にもセクハラを訴える相談窓口が設置されている。Tバックの強要を訴える気はあるのかと尋ねると、「そんなことできません。他に納得して穿いている子たちがいるし、学歴もなく資格も持っていない私なんかクビを切られておしまいですよ。これからも穿き続けなきゃいけないと思うと耐えられなくなってきますけど……」と涙ながらに語るだけだった。

※週刊ポスト2014年7月11日号

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