国内

スマホ課税 1台毎月100円徴収なら年間1680億円の税収見込み

 政府・自民党内からは「パチンコ税」を始め、次から次へと新税や増税計画がもちあがっている。その一つが「スマホ税」だ。これはスマホや携帯電話に毎月数百円程度の新税をかけようというもの。自民党は6月18日に新議連「携帯電話問題懇話会」を発足させ秋までに案をまとめる。

 議連会長で安倍首相側近の1人、中山泰秀・代議士は昨年の自民党税調の会議で携帯電話への課税を言い出した人物。最近、フリーペーパーのインタビューで新税創設の理由をこう語っている。

〈自動車って持っているだけで税がかかる。それは自動車だけ。おまけに走るのにも軽油税とかガソリン税に道路の税金も払わないといけない。タックスオンタックスの象徴なんです。(中略)

 電波って資源なんで有限なんです。資源を利活用しているという共有の思いを、携帯を買って持っている我々が携帯1台につき、例えば毎月100円でもいいし1000円でもいい。携帯に税金を課しましょうということなんです。携帯税には犯罪抑止効果もあるわけです〉

 こじつけだ。携帯電話各社は国にざっと年間500億円の電波利用料を支払っており、それは利用者の料金に乗せられている。携帯料金には別に消費税も、ユニバーサルサービス料(※注)もかかっている。そこに携帯・スマホ税が加われば、それこそタックスオンタックスではないか。元経産官僚の岸博幸・慶応大学大学院教授が語る。

「スマホ課税は論外。電波という国の資源を使っているといっても、携帯会社はすでに放送局より何倍も高い電波料を国に払っている。推進派の議員は犯罪対策も理由にしているが、ネットの違法行為であれば、パソコンやタブレット端末も対象にしないと政策として整合性がとれない。要するに取れそうなところから税を取ろうという安直さしか感じられない」

 携帯電話の契約数は約1億4000万回線ある。スマホ税が1台毎月100円なら年間1680億円、毎月1000円なら1兆6800億円の税収が見込める。電波利用料(年間約700億円)とは比較にならない規模であり、役所にとっておいしい財源になるのは間違いない。

「将来、スマホ税が導入され、それが通信関連の特定財源になるのならば総務省は大賛成。役人の利権が大幅に増えるからだ」(岸氏)

【※注】ユニバーサルサービス料/一般電話、携帯電話、IP電話の料金には、1回線あたり「毎月3円」のユニバーサルサービス料が上乗せされている。これは国がNTT東西に義務づけている公衆電話の設置や「110番」「119番」などの緊急電話のコストを利用者に分担させる制度。分担金の総額は年間約70億円にのぼる。

※週刊ポスト2014年7月11日号

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン