全国各地で夏の甲子園大会予選が行なわれている。あと一歩で甲子園に手が届く予選決勝は、球児たちにとって最も重要な試合。緊張からか、通常やらないようなミスを犯してしまうことがある。
1956年、栃木県代表の足利工と群馬県代表・藤岡が北関東代表を賭けて決勝を戦った。当時はまだ1県1代表制ではないため、どちらか1校しか甲子園に進むことができなかった。
試合は1-1の同点で延長戦に入った。延長15回裏、藤岡の攻撃で2死満塁からヒットが出た。藤岡がサヨナラ勝ちで甲子園初出場と誰もが思った。しかし、この時に1塁走者がうれしさのあまり2塁を踏まずにベンチに戻ってしまった。これに気付いた足利工の選手が2塁ベースにタッチし、フォースアウトとなって得点は取り消しに。
再開した試合は、延長21回に勝ち越した足利工が勝利。このチャンスを逃した藤岡は、いまも甲子園出場を果たしていない。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号