2010年には半官半民の「ベトナム女性連盟」と韓国政府の間で、韓国人男性の経済力や家族構成、健康状態などの基本情報を国際結婚仲介業者に通知させる制度を作ることが合意された。しかし、書類を捏造するなど虚偽が横行したため実効性は皆無。2012年にはベトナム女性連盟が、50歳以上、または年の差16歳を超える韓国人男性との結婚を禁止する方針を打ち出した。
ベトナムだけではない。同じく仲介業者による「売買婚」の標的であるカンボジアはこれまで数次にわたり「韓国人男性との結婚禁止」措置を講じてきた。昨年3月には中央アジア・キルギスの副首相が韓国大使に、キルギス人妻が韓国で「不幸な生活を送り、中には死に至るなどの問題が報告されている」と伝えた上で「議会では韓国人との結婚を禁止する必要があるとの話まで出ている」と述べた。
これに対し韓国大使は「多文化家庭(国際結婚家庭)の結婚問題はキルギス人女性だけに限られたものではない」「幸せな結婚生活を送る多文化家庭も多い」などと答えたという「(『サーチナ』2013年10月7日付)。
大使の言葉に表われた「問題軽視」の不誠実さこそ悲劇の温床と言える。今年4月、韓国政府は国際結婚に伴う移民ビザを申請する外国人には韓国語の習得を、韓国人配偶者には年収1480万ウォン(約148万円)以上を条件として課した。しかし、そうした規制強化は「農村部の男性の結婚相手を選ぶ範囲を狭くし、結婚費用をかさませるだけ」(国際結婚仲介業者)と冷めた声も聞かれる。
実際、業者による「売買婚」はベトナムに始まり、次から次へと貧しい国々を物色し、市場を開拓してきた。
※SAPIO2014年8月号