国内

都庁OBの天下り 監視の目緩く報酬もキャリア官僚と遜色ない

 東京都など地方役人の「天下り天国」の実態はこれまでほとんど報じられていない。国政と比較して監視の目が緩いだけに、やりたい放題ぶりは霞が関の高級官僚以上といっていい。そして彼らが天下りする外郭団体の役員報酬もキャリア官僚と比べて遜色はない。

 たとえば、五輪利権に沸く東京臨海ホールディングスは約1402万円(平均額、以下同)。同社傘下のゆりかもめ(社長は元交通局次長)、東京ビッグサイト(常務は元総務局理事)などの天下り役員の年収も軒並み1200万~1300万円台だから、臨海部開発で累積赤字がどれだけ出ても、天下り役人はしっかり高給を貪っていることがわかる。

 かつて都庁では、再就職で保証される年収の水準について「退職時ポストが局長級なら1000万円、部長級なら800万円」(OB)といわれていた。

 だが、五輪で卓球会場となる東京体育館を運営する東京都スポーツ文化事業団(社長が元生活文化局長)の役員報酬は約1270万円など、局長級が1200万~1300万円台と明らかにインフレを起こしている。

 複数の天下り先を回る「渡り鳥」もいる。首都高速道路株式会社の菅原秀夫・社長は都の主税局長から副知事を務め、副知事退任後の「指定席」である日本自動車ターミナル社長を経て、2012年に現職に就任した。都が大株主である首都高は役員報酬1600万円と都庁OBにとって最高クラスの天下り先だ。

 その首都高とやはり都が大株主の超優良企業・東京地下鉄株式会社(東京メトロ、役員報酬約1870万円)には、グループ会社や出入り業者など多くの都庁天下り企業がぶら下がる。両社が五輪に向けたインフラ整備に巨額の事業費をつぎ込むほど、OBの再就職先が増える構造だ。

※週刊ポスト2014年8月8日号

あわせて読みたい

関連キーワード

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン