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江沢民氏入院 習近平主席による上海閥切り崩しが影響したか

 中国の江沢民・元国家主席が最近、足を負傷し、入院していることが分かった。命には別状はないとみられるが、江氏は今年8月で88歳になるだけに、入院が長引けば、健康状態が悪化する可能性もあるという。米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「博訊(ボシュン)」が伝えた。

 江氏が最後に公の場に姿を現したのは今年5月20日、上海でプーチン・ロシア大統領と会見した際で、それ以前の4月上旬には、江氏夫妻が故郷の江蘇省揚州市で、墓参したあと、西胡で遊覧船に乗っている姿がネット上で流された。また、その後、YouTubeでも、上海市内の親戚の自宅を訪問する動画が公開された。その際、江氏は元気に歩いており、足に負傷した様子はなかった。

 江氏が入院したのは5月下旬以降で、注目すべきは、この前後に、江氏が率いる上海閥の幹部が軒並み身柄を拘束されたり、党籍剥奪処分を受けていることだ。

 江氏の軍内での腹心中の腹心である徐才厚・元中央軍事委員会副主席がこの時期に、汚職容疑で身柄を拘束され、6月30日に党籍剥奪処分を受けた。やはり、江氏と近い蒋潔敏・元国有資産監督管理委員会主任と李東生・元公安省次官も党籍剥奪処分を受けている。

 さらに、海南省の冀文林・元海南省副省長が汚職で身柄を拘束されていることが発表されるなど、主に上海閥の幹部の身柄拘束や処分が相次いでいる。

 また、台湾の「東森新聞網」によると、最近は上海閥の大番頭で、太子党閥(共産党高級幹部の総元締めといわれる曾慶紅・元国家副主席が7月9日に北京で開かれた太子党(高級幹部子弟)グループの会合に欠席したが、これは曾氏が天津市内で身柄を拘束され取り調べを受けているためだという。

 さらに、江氏の愛人とされ、著名なソプラノ歌手、宋祖英・海軍政治部歌舞団(海政文工団)団長(48)が個人コンサート開催のため軍事費及び文化部予算を不正流用した疑いで取り調べを受けているとの情報も流れている。

「これは江氏の政治的発言力の弱体化を図り、上海閥の切り崩しによって、自らの権力基盤を拡大、盤石にしようとする習近平国家主席の思惑が働いている」と北京の党幹部は語り、「この見方が正しければ、そのような最中の江氏の入院は、習氏による江氏の事実上の軟禁との見方もできなくもない」と指摘している。

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