日本人の外食率は、最近15年間は36%前後をいったりきたりするばかりで上昇する気配がない。しかし、総菜や弁当、前述の電子レンジに対応した調理キットなどを含む中食を指す食の外部化率は、細かな上下はあるものの上昇傾向を続け2012年には45.1%を記録している。
これら食の外部化傾向を後押ししているのは、間違いなく由美子さんのような女性たちだろう。だが、結婚しない女性が増えているのが原因と考えるのは間違いで、既婚女性も食の外部化を受け入れている。
20~59歳の既婚女性への調査で、手作りだと思う料理と手抜きの罪悪感について「市販の具入り惣菜の素に玉ねぎを加えて酢豚をつくった」ことに手抜きの罪悪感を感じた人は17.2%に対し、手作りだと思う人は26.3%、「惣菜のカツを卵でとじてカツ丼にした」に罪悪感を感じた人が17.3%に対し、23.9%が手作りだと思っていると分かった(「2013年度キューピー食生活総合調査」調べ)。惣菜や簡便調理対応品も、ひと手間を加えることで手抜きの罪悪感が軽減するならば、それが電子レンジ調理品であっても理屈は同じだろう。
いまや電子レンジはキッチン家電の中で炊飯器を超え、冷蔵庫に次ぐ普及率の高さだ。極端な例でいえば、調理器具がそろわずとも電子レンジだけはある世帯もある。引っ越しで調理器具が間に合わなくても、電子レンジは使っているという女性もいた。電子レンジ対応の料理キットが充実してゆけば、鍋やフライパンの火加減は苦手でも電子レンジの加熱具合を巧みに使いこなす女性が増えてゆくのかもしれない。