表向きの目的は「書道展」だという。日本モンゴル友好議連の幹部が語る。
「8月20日からウランバートルで日蒙文化交流40周年事業として友好書道展が開かれる。山谷さんなど拉致議連メンバーや洋子夫人の書も出展され、ご本人もいらっしゃると風の には聞いています」
山谷事務所に確認すると、「書道展への出席のためにモンゴル入りするのは事実。ただし、拉致対策本部や拉致議連の活動とは全く関係ない」と説明する。
洋子さんは書が趣味で、政財界人夫人の書道の会「雍容苑」を主宰してきた。安倍首相退陣直後の2007年秋に北京の中国美術館で開かれた『日中女流書道家代表作品展』にも「龍」の書を出展したほどの腕前だ。
確かに書道展というのはもっともな目的にも見えるが、8月下旬といえば、拉致被害者など日本人行方不明者の第1次調査結果が報告される日朝協議が行なわれる時期だ。このタイミングで、日朝秘密交渉の舞台となってきたモンゴルに出向く理由が、「たまたま書道展があるから」では話ができすぎているようでもある。
安倍首相自身、これまで日朝交渉でモンゴルルートを積極的に利用してきた。前述の横田夫妻とウンギョンさんの面会も、昨年9月にエルベグドルジ大統領が来日した際、安倍首相が大統領を渋谷区富ヶ谷の私邸に招待し、北との仲介を依頼したことで実現したとされる。外務省中堅がいう。
「総理の私邸は2世代同居ですから、当然、母の洋子さんはエルベグドルジ大統領と面識がある。今回の訪問は、大統領がぜひ洋子さんに来てほしいと内々に誘ってきたから実現したという話もある」
※週刊ポスト2014年8月15・22日号