セガトイズ本社(恵比寿)にはジュエルペットの関連商品がズラリ
腕が鳴るとはこのことか。宮崎さんの才能が新天地で発揮されるまでに、そう時間はかからなかった。転職後2年で女児向けの新キャラ開発メンバーに抜擢された。
「女の子の好みは多様化しているので、とにかくたくさんの動物キャラをイメージして、『私はこの子がいい』と選べるようにしました。そして、誰に絵を描いてもらおうか考えていたときに、サンリオとの共同開発の提案が持ち上がりました」
しかし、自社でデザイナーや開発部隊を多数抱えるサンリオにとって、わざわざ他社と組んでキャラクターを作る必要はない。むしろ、組む理由が必要であった。
そこで、当時、小学生が家庭でパソコンを使い始めていることをヒントに、宮崎さんはゲームキャラとしてのデビューを提案した。
「ペットキャラの目はそれぞれ意味のある宝石にして、魔法のアイテムを加えるなど、女の子が大好きな要素を次々と足して、ハローキティーのデザイナーの山口裕子さんと二人でジュエルペットの世界観を膨らませていきました」
そうして誕生したジュエルペットは、後にテレビアニメや雑誌連載、そのほか数々の商品展開を見せていくことになるが、セガトイズが早くから着目したのが、普及し始めたスマホだった。
「私の周りでもスマホに夢中になっている人が増える中、『オトナの気分を味わいたい』子供にもスマホ型の玩具を作れば絶対に受け入れられるはず――と確信しました」
開発過程で宮崎さんが上司から口酸っぱく言われ続けていたことがある。
<7~9歳ターゲットの商品を作るなら、女児を渋谷のギャルと思え!>
つまり、最終的な仕様や使い方は易しくしても、最初から子供向け商品を作っていたら、必ず飽きられるというわけだ。そこで、宮崎さんはじめ開発メンバーたちは、スマホはなぜ普及しているのか、女子高生がどんなアプリで遊んでいるかなど、徹底的に調べ上げた。
こうして2010年に発売にこぎつけたジュエルポッドは、指の動きだけで操作するスマホ型玩具から、モノクロ液晶、カラー液晶タッチパネルと年々進化させていった。機能もカメラや音楽、デコメールの送受信や写真加工、公式サイトからPCでゲームをダウンロードし、SDカードで追加するなど、いまでは本物のスマホに限りなく近づいている。
8月7日にはシリーズ第5弾となるタブレット型(ジュエルパッド)も発売された。5インチの大画面ならではの遊びを追求し、動画の撮影・編集やマンガ・小説の掲載、タッチペンによるお絵かき・学習アプリなどの機能が満載だ。