ライフ

ケトジェニック・ダイエットの利点 食後も眠気なく頭すっきり

 抗加齢学の第一人者、順天堂大学大学院教授白澤卓二さんらによって提唱された「糖質オフダイエット」がここ数年、大ブームになっている。それが今、さらなる進化を遂げているという。それが「ケトジェニック・ダイエット」だ。

 人間は、食事で摂った炭水化物や肝臓内にためられたグリコーゲンをブドウ糖に分解してエネルギーにする。「ケトジェニック・ダイエット」では、通常1日に200~300g摂っている炭水化物の量を制限して、糖質の代わりに脂肪をエネルギーにして燃焼していくというやり方。

「炭水化物や砂糖などの糖質をほとんど摂らないと、体内の脂肪が分解されて脂肪酸になり、さらに分解されて脳や筋肉でエネルギーとして使われます。つまり、糖の代わりに体にたまった脂肪がエネルギーの素となって、どんどん燃焼されるのです。

 そして脂肪酸分解のときに肝臓で出てくるのが『ケトン体』と呼ばれる物質です。ケトン体は糖尿病が悪化すると出てくるため、これまで悪者扱いされましたが、健康体でも出てくることがわかりました」(白澤さん)

 もっと効率的にケトン体を増やせることもわかってきたと白澤さんは言う。白澤さんが実践しているのは、モデルで女優のミランダ・カー(31才)も愛用しているというココナッツオイルを積極的に摂るということ。ココナッツオイルは、ココナッツの白い果肉を熱や溶剤を加えずに圧縮して抽出したものだ。

「このオイルは、主に中鎖脂肪酸で構成され、肝臓でケトン体に分解されます。ケトン体が増えれば脂肪が燃えやすくなる。1日にスプーン2杯ほどをコーヒーに入れてもいいし、料理に直接かけてもおいしいですよ」(白澤さん)

 ココナッツオイルを摂ってケトン体を増やしながら糖質制限を行うと、よりダイエット効果が得られそうだ。

 もう一人、医師で「ケトジェニック・ダイエット」を実践しているのは、ナグモクリニック東京のアンチエイジング、機能性医学外来の医長、斎藤糧三さん。斎藤さんは、糖質を制限し、肉をしっかり食べて減量に成功した。83kgあった体重は、この方法で18kg減り、65kgになったという。

「主に牛肉をステーキで食べました。肉はカロリーが高くて太るというイメージがありますが、肉を敬遠してたんぱく質不足になると、余計太りやすくなります。ケトジェニック・ダイエット中はたんぱく質を積極的に摂ることが大事です。

 このダイエット法だと、ケトン体が出てやせやすいという体質そのものが作り上げられるため、リバウンドもほとんどありません」

 しかし、欧米人ならともかく、日本人には肉よりもむしろお米など穀類の炭水化物のほうが、体質的に合っているような気がするが…。

「ヒトはそもそも、肉食の時代のほうが長く、約250万年前から主に肉を食べているといわれています。二足歩行に移って脳の容量がグッと増えたのも肉食がきっかけで、その摂取量はオオカミ並みとも。

 対して穀物栽培は1万年ほどの歴史しかありません。生活スタイルが変わり、急に穀物を主食にしたからといって、体のつくりまで肉主食から穀物主食にスイッチできるわけではないのです」(斎藤さん)

 つまり、肉を食べてエネルギーをつくることは、人間にとって、ごく自然なことなのだ。

 このダイエット法には、食後の眠気がなくなったり、常に頭がすっきりした状態になるという利点も。というのも、食後に眠くなるのは、糖質摂取による急激な血糖値の上昇によるものだからだ。

 また、お腹がすいてイライラするとか、そのイライラを鎮めるために甘いもので解消している人が多いが、実は糖質には、中毒性があるということがわかってきている。

「主食が白米の日本人には、糖質依存症の人が多い。反対に、このダイエット法を実践すれば、集中力が高まり、仕事や勉強の効率を上げてくれます」(白澤さん)

 では具体的にレシピを見ていこう。白澤さんが提唱するのは、朝の野菜ジュース。

「エネルギーをつくり出すためには、ビタミンやミネラルが欠かせません。ですから私は果物や野菜をミキサーにかけ、フレッシュジュースを飲むようにしています。

 フレッシュジュース作りが面倒くさいなら、糖分無添加の市販の野菜ジュースでもOK。カロリー少なめで血糖値を上げません」(白澤さん)

 昼、夜は、野菜とたんぱく質の魚、肉を積極的に摂るようにする。糖質とは違って、脂質とたんぱく質は血糖値を上げないため、いくら摂ってもいいという。

「ダイエット後に肌が荒れた、髪がパサパサになったという人が多い。それはたんぱく質不足で、細胞の新陳代謝がうまくいかなくなったことが原因です。また、免疫力も低下して疲れやすくなるので、その点でも、積極的にたんぱく質を摂ってください」(白澤さん)

 肉から摂れない食物繊維を摂取するためには、野菜が欠かせない。厚生労働省では1日350gの野菜摂取をすすめているが、実際、摂られているのは280g程度とも。

「野菜は心して摂るようにしたいもの。毎食、生野菜なら両手のひらいっぱい。加熱した野菜なら片手のひらに山盛りくらいの量を。これなら毎食120gの野菜を摂取できます」(斎藤さん)

※女性セブン2014年8月21日・28日号

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン