国内

公園の禁止事項増加 「談笑」「ダンス」「漫才の練習」など

 夏休み終盤、都内のある公園の光景は異様というほかなかった。隅のベンチで小学生が固まって携帯ゲームに興じている。広い公園では、他にちらほら歩く人がいるくらいで、まだ陽も残っているのに静まり返っていた。なぜ走り回ったり球技をしたりしないのかと子供に問うと、こう答えた。

「うるさくしちゃダメって書いてあるから、静かにゲームしてたんだよ。ボール遊びもダメだからサッカーもできないし」

 確かに公園入り口に掲げられた管理自治体名が入った看板には、これでもかと数々の警告が並んでいる。「ボール遊び禁止」、「大声禁止」、「自転車乗り入れ禁止」……。近所の住民はこう嘆く。

「中には『見つけしだい通報します』という“脅し”が書かれている公園までありますよ。子供が思いきり遊べないから、児童公園なのに、たまにお年寄りがベンチに座っているのを見かけるくらいです」

 他の地域はどうか。調べただけでも、様々な禁止事項に出くわした。「喫煙禁止」や「花火禁止」、「犬の散歩禁止」、中には「ベンチでの飲食禁止」という公園まであった。さらには談笑の禁止、楽器やダンス、漫才の練習禁止という“変わり種”もある。許されているのは公園に入ることくらいなのだろうか。

 禁止事項が増えた原因は、近隣住民からのクレームといわれている。例えば西東京市では、公園の噴水で遊ぶ子供の声が「騒音」と認定されて噴水が停止された。ご近所のトラブルが裁判沙汰になるケースも少なくない時代なのである。

 最近では、公園でのラジオ体操もクレームの対象となり、許可申請が必要な自治体も増えている。そのひとつ、兵庫県西宮市はこう話す。

「10人以上でラジオ体操をする場合は、他の利用者との公園使用が競合しないよう調整しやすくするために申請方式にしています。ラジオを使用する時は事前に近隣住民に申し入れするように指導しています」(公園緑地課)

 もちろんクレームをつける側にも事情はある。西東京市の事例では、公園近くに住む女性が不整脈などで療養中のため、騒音が苦痛だと訴え、申し立てが認められた。前出の西宮市公園緑地課はこう語る。

「近隣から苦情があるたびに禁止事項を記した看板は増えます。看板があれば、住民も苦情がいいやすくなりますから」

 確かに住民の苦情や要望を聞くのも行政の役割だ。しかし禁止行為でがんじがらめにすればいいというのはいかにもお役所体質ではないか。税金で作り、税金で管理している以上、その場所を多くの住民が活用できるように働きかけるのが本来の行政だろう。

※週刊ポスト2014年9月12日号

関連記事

トピックス

熱愛が明らかになった
【熱愛スクープ】柄本時生、女優・さとうほなみと同棲中 『ゲスの極み乙女』ではドラマーとして活動、兄・柄本佑と恋人役で共演 “離婚を経験”という共通点も
女性セブン
佳子さまを見られる機会が減ってしまうのか(時事通信フォト)
佳子さま、SNSで拡散された「公務ドタキャン説」の真相 昨年中に「多忙のため欠席」と連絡済み、昨年の公務数は134件で皇室屈指
週刊ポスト
終始心配した様子の桐山照史
WEST.桐山照史&狩野舞子、大はしゃぎのハネムーンを空港出発ロビーで目撃 “時折顔を寄せ合い楽しそうにおしゃべり”狩野は航空券をなくして大騒ぎ
女性セブン
徳永英明の息子「レイニ」が歌手としてメジャーデビューしていた
徳永英明、名曲の名を授けた息子「レイニ」が歌手になっていた “小栗旬の秘蔵っ子”の呼び声高く、モデル・俳優としても活躍
女性セブン
昨年12月末に20代女性との不倫関係が報じられた西武・源田壮亮
《不倫騒動の西武・源田壮亮》「奥さんは大丈夫だったのか?」「雲隠れしとったのか?」西口監督から“事情聴取”の現場
週刊ポスト
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「じゃあ眼球を摘出できますよね?」田村浩子被告を“ガン詰め”する検察官に弁護側が反撃「取り調べで録音されていない箇所が…」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
水原一平の父が大谷への本音を告白した
《独占スクープ》水原一平被告の父が告白!“大谷翔平への本音”と“息子の素顔”「1人でなんかできるわけないじゃん」
NEWSポストセブン
新しい配信番組のMCを担当する予定の堂本光一
《堂本光一もMCの1人に》ジュニアが出演する配信番組の制作が極秘進行中、「デビュー組もジュニアも分け隔てなく出演する」形に
女性セブン
田中にとってはルーキー時代の恩師だ(写真は2007年のもの)
巨人・田中将大が復活のために思い出すべき「ノムさんの教え」 明かしていた“間違った指導”“スピードより制球と配球”の助言
NEWSポストセブン
オンラインカジノで賭博をした疑いで任意の事情聴取を受けたと報じられた、とろサーモンの久保田かずのぶと令和ロマンの高比良くるま
【令和ロマンくるま、とろサーモン久保田も事情聴取】オンラインカジノの闇…著名人がPRしていれば合法と勘違いする人も インスタントジョンソン・じゃいは「PRオファーはお断わりした」
週刊ポスト
田村瑠奈被告と、事件があったホテルの202号室
「ひどいな…」田村瑠奈被告と被害者男性との“初夜”後、母・浩子被告が抱いた「複雑な心中」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
“原宿系デコラファッション”に身を包むのは小学6年生の“いちか”さん(12)
《ド派手ファッションで小学校に通う12歳女児》メッシュにネイルとピアスでメイク2時間「先生から呼び出し」に父親が直談判した理由、『家、ついて行ってイイですか?』出演で騒然
NEWSポストセブン