――それではデメリットは?
強いて言えば価格ですね。保険適用外となりますので、病院によって異なりますが私の病院では、両眼で70万円、乱視の場合は80万円です。ただ私の知る限りでは、ICL手術を受けた患者さんで「高い」と言う方はいらっしゃいません。見え方に納得されているからですし、眼鏡やコンタクトのように継続的なコストがないので、これから長く眼を使うことを考えれば、むしろ安いと感じられるようです。加入している医療保険によっては手術給付金が受けられる場合もありますから、確認してみるといいかもしれません。
――それでも、「眼の中にレンズを入れる」と聞くと、少し怖い気がしますが……。
これまでコンタクトレンズを使っていた人には、「今まで眼の上に乗せていたレンズが、眼の中に入るようなものです」とお話しすると、意外に抵抗なく受け入れてもらえます。また、身内に白内障の手術を受けた人がいるという人は多いかと思いますが、ICL手術は白内障手術によく似た手術で、「眼内レンズを入れる」という意味では、白内障の手術もICL手術も同じですとお話すると、すぐにイメージできるようです。
白内障手術は日本で年間130万件も実施されている安全性の確立された手術で、多くの眼科医が手がけています。私自身もこれまで1万4400例以上の白内障手術を実施しております。ICL手術は内眼手術としての共通点があったため、私自身、眼科医としてもまったく抵抗を感じませんでした。むしろ内眼手術の経験や技術を活かせる視力矯正法と捉えています。
――ICL手術には特別な技術が必要ですか?
手術医の資格は認定制で、学会とレンズメーカー、インストラクター医師が行なう特別なトレーニングを受講して、認定を受けた眼科専門医しか施術できません。そういった意味でも、安全性が高いと考えています。