国際情報

香港と台湾 学生たちが戦っている真の相手は中国の権力者達

 民主的選挙を求める香港の学生デモに対し、15日未明、警官隊が排除に動き45人の逮捕者が出た。しかし、路上にテントを張って長期戦に備える学生も残ったままだ。催涙ガスから身を守るために用意した雨傘にちなんでデモは「雨傘革命」と呼ばれている。どう見るべきか。

 学生が反発しているのは、中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が8月末に決めた2017年の行政長官選挙のやり方だ。形ばかり1人1票を決めたが、肝心の候補者は中国の息がかかった指名委員会が決めるとした。民主派は候補者選びの段階で閉めだされてしまう。それで学生たちは決定撤回と行政長官の辞任を求めている。

 中国は英国から香港が返還された1997年、香港基本法第5条で「香港特別行政区では社会主義の制度と政策は実施されず、50年間は従来の資本主義制度と生活様式を保持する」と定めた。

 学生たちは「約束違反じゃないか」と拳を振り上げるが、選挙制度を決めるのは常務委員会なので、たとえ梁振英・長官が辞めたとしても、中国が妥協しない限り問題は解決しない。いまのところ中国に譲歩する気配はなさそうだ。

 デモは香港だけに限らない。3月には中国とのサービス貿易協定締結に反対する台湾の学生たちが立法院(国会)を占拠した。こちらは支持者が学生に贈ったひまわりの花束が議場の演台に飾られたことから「ひまわり運動」と呼ばれている。

 学生たちはサービス貿易協定が「中国による台湾の植民地化を招く」と反対していた。4月になって立法院長が協定審議の棚上げを約束し、占拠は学生勝利の形で解消された。

 だからといって、やはり根本の問題は解決していない。中国はあくまで自分たちが主導する中台統一を目指している。学生たちは当然そのことを分かっているから、ネット上に発表した公式声明で「台湾人は中国の言いなりにならない」と闘争宣言している。

 つまり、香港でも台湾でも学生たちが戦っている真の相手は当局ではない。中国の権力者たちである。共通の敵は中国なのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン